Paul Davis / Paul Davis (パステル・メッセージ) (1980年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Paul Davisの1980年のアルバム『Paul Davis / パステル・メッセージ』の紹介です。

Paul Davis / Paul Davis (パステル・メッセージ) (1980年) フロント・カヴァー

Paul Davisは70年代から80年代中盤にかけてアメリカのカントリー~ポップス・シーンで活躍したシンガー・ソングライター。1970年にアルバム・デビューし、81年までの約10年間に7枚のアルバムを制作。80年代中盤を過ぎると早々と音楽活動から引退し、2008年に60歳という若さでこの世を去った。

本作はPaul Davisの6作目。「I Go Crazy」が大ヒットした1977年のアルバム『Singer of Songs: Teller of Tales / アイ・ゴー・クレイジー』と、タイトル曲が大ヒットした81年のアルバム『Cool Night』の狭間にあってセールス的には地味な印象があるが、Paul Davisらしいポップで爽やかなAORを満喫できるアルバム。

セルフ・タイトルのアルバムである点や自身を写したシンプルなジャケットからは、等身大の自分を表現しようとする姿勢が窺える。タレントのオダギリジョーさんに風貌が似ているんだよなぁ…

「Do Right」は甘酸っぱさと切なさが絶妙にブレンドしたPaul Davisらしいポップ・ソングで、このアルバムの爽やかさを印象づける名曲。「パステル・メッセージ」というAORらしい邦題は、そのままアルバム・タイトルに使われた。この曲はファースト・シングルとなり、Billboard Hot 100チャートの23位を記録している。

セカンド・シングルには2曲目の優しさ溢れるバラード「Cry Just A Little」が選ばれたがチャートの78位どまり。大きなヒットにはならなかった。

全曲がPaul Davisのオリジナルで、ラストの3曲は共作。「Do You Believe In Love」はPeabo Brysonとの共作で、「So True / 真実」と「When Everything Else Is Gone / すべてを投げ出して」はWill Boulwareとの共作である。

Peabo Brysonはソウル/R&Bシーンの名シンガー。Roberta Flackとデュエットした83年のヒット曲「Tonight, I Celebrate My Love / 愛のセレブレイション」(米16位)などが知られているが、ポップで爽やかな「Do You Believe In Love」にほのかなR&Bの香りがするのはPeabo Brysonの貢献だろう。

●収録曲
  1. Do Right / パステル・メッセージ - 4:05
  2. Cry Just A Little - 3:42
  3. He Sang Our Love Songs / 色あせし恋 - 4:18
  4. All The Way - 4:46
  5. Too Slow To Disco - 4:32
  6. Let Me Know If It's Over / 失意の中で - 3:21
  7. Do You Believe In Love - 3:54
  8. So True / 真実 - 3:25
  9. When Everything Else Is Gone / すべてを投げ出して - 5:02

◆プロデュース: Paul Davis(vo, k, vibes, ar), Ed Seay(ar, g, b, per, bv)

◆参加ミュージシャン: Kenny Mims(g), Will Boulware(k, bv), Don Barrett(b), James Stroud(ds, per, bv), Nigel Olsson/Marilyn Scott(bv), etc

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