Dick St. Nicklaus / Sweet And Dandy (1980年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Dick St. Nicklausの1980年のアルバム『Sweet And Dandy』の紹介です。

Dick St. Nicklaus / Sweet And Dandy (1980年) フロント・カヴァー

Dick St. Nicklausは、60年代に「Louie Louie」や「Money」などのヒットを飛ばしたガレージ・ロック・バンドのThe Kingsmenのドラマー。現在もDick Petersonの名前でKingsmenのドラマーをしているが、70年代にはソングライターの仕事もしていた。ソロ・アルバムは2枚あり、本作がセカンド・アルバムである。

79年のファースト・アルバム『Magic』は本国アメリカよりも日本で売れた。大阪の輸入盤専門店から口コミで人気が広まり、関西地区限定発売から全国発売へと展開したそうで、シングルの「Magic」は当時のオリコン・チャートに長期間ランク・インしたらしい。その人気を受けて、日本限定で発売されたセカンド・アルバムが本作である。

全曲がDick St. Nicklausの作/共作で、キャッチーなメロディの曲ばかりを揃えている。キーボードで軽快にリズムを刻むMichael McDonald風の「Bye Bye Baby」や、Steve Lukatherがエネルギッシュにギターを弾くTOTO風の「You're Living A Lie」などの流行を捉えたナンバーもよいが、素朴なバラードや哀愁漂うミディアム系に人柄のよさが表れている。

心地よい郷愁のある「Can't Say Love」や優しいバラードの「Love Love Love」、大阪への恩返しのような「Osaka Moon」、情感一杯に歌う「Stuck In The Mud Again」あたりが素晴らしく、暖かい歌声と飾らない真っすぐな歌いっぷりも素敵。

「Love Love Love」は、"Don't give up on love" と歌うなかなかの名曲。Bill Medley(The Righteous Brothers)が81年のアルバム『Sweet Thunder』でカヴァーしたほか、Kenny Rogersも83年のアルバム『We've Got Tonight』で歌っている。

ファースト・アルバム『Magic』のCDは、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから2016年8月に再発されたが、このセカンド・アルバムの方は2001年に日本で世界初CD化されて以来、CDの再発がないのが残念。じっくり待ちましょう。

●収録曲
  1. Bye Bye Baby - 4:03
  2. Can't Say Love - 4:10
  3. Love Love Love - 3:35
  4. Lies - 2:58
  5. You Better Run - 2:52
  6. Osaka Moon - 3:57
  7. You're Living A Lie - 3:37
  8. Stuck In The Mud Again - 5:35
  9. I'm Tired - 4:05

◆プロデュース: Dick St. Nicklaus(vo, k, ds), Velton Ray Bunch

◆参加ミュージシャン: Steve Lukather(g), Ian Underwood(sy), Neil Stubenhaus(b), Steve Schaeffer(ds), Jim Horn(sax), etc

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