Air Supply / Lost In Love (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Air Supplyの1980年のアルバム『Lost In Love』の紹介です。
Air Supplyはオーストラリアのソフト・ロック・デュオ。シンガー・ソングライターでありギタリストのGraham Russellとリード・ヴォーカル担当のRussell Hitchcockによって1975年に結成され、今も活動を続けている。『Lost In Love』は5枚目のアルバム。彼らが初めて世界的な成功を手にした出世作である。
本作からは、タイトル曲がBillboard Hot 100チャートの3位(ACチャートの1位)となるヒットを記録。続いて「All Out of Love」は2位、「Every Woman in the World」も5位となり、3曲が全米チャートのTop 5にランク・インした。アルバムもBillboard 200チャートの22位をマーク。彼らはこの後もヒットを連発し、全米1位を獲得した「The One That You Love」(81年)を始め、83年までに8曲をチャートのTop 5に送り込んだ。
「Lost In Love」は、甘美なメロディ、アコースティックを基調とする涼しげなサウンド、美しいヴォーカル&ハーモニーという3拍子が揃った彼らの代表曲。「All Out Of Love」と「Every Woman In The World」も爽やかなナンバーで、甘めのメロディを甘すぎないようにアレンジしたサウンドが心地よい。
甘さと涼やかさがほど良く加減された彼らの音楽は日本では "ペパーミント・サウンド" と呼ばれ、日本盤のジャケットもそれに合わせるように青い海とウィンド・サーフィンのデザイン(上の画像)に差し替えられた。オリジナルのジャケット(下の画像)には、ピラミッド型のオブジェ(建物?)をバックにメンバー5人が写る。結成時はGrahamとRussellのデュオであったが、本作ではメンバーが5人に増えている。
ヒットした3曲以外にも、「Having You Near Me」「Chances」などのバラード系はどれも素晴らしい。一方で、アップ・テンポな曲はちょっと歌謡曲風だったりする。
ペパーミント・サウンドというと、ヒット狙いの軽い音楽という印象を受けるが、彼らの音楽は必ずしもそうではない。「Lost In Love」などは曲、アレンジ、歌・演奏ともに上質で成熟しており、Adult Contemporaryを真面目に追求した音楽であることが分かる。80年代半ばになると彼らはチャートから遠ざかるが、ペパーミント路線が飽きられたというよりは、彼らの音楽がより一層成熟したからだろうと思う。
- ●収録曲
- Lost In Love - 3:51
- All Out Of Love - 3:59
- Every Woman In The World / ときめきの愛を - 3:33
- Just Another Woman - 3:51
- Having You Near Me - 4:03
- American Hearts - 3:13
- Chances - 3:31
- Old Habits Die Hard - 3:03
- I Can't Get Excited / 燃えない心 - 5:01
- My Best Friend - 2:32
◆プロデュース: Robie Porter, Rick Chertoff, Charles Fisher
◆参加ミュージシャン: Russell Hitchcock(vo), Graham Russell(g, vo), David Moyse(g, bv), Criston Barker(b, bv), Ralph Cooper(ds)
with Tommy Emmanuel(g), Frank Esler-Smith/Sam McNally(k), etc
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