John Farrar / John Farrar (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、John Farrarの1980年のアルバム『John Farrar』の紹介です。
John Farrarはオーストラリア出身のミュージシャン。Olivia Newton-Johnのソングライター兼プロデューサーとしての仕事は有名で、「Have You Never Been Mellow / そよ風の誘惑」(75年)、「You're the One That I Want / 愛のデュエット」(78年)、「Magic」(80年)などの全米No.1ヒットを始め、彼女の多くのヒット曲やヒット・アルバムを手がけた。
ロック・バンドのメンバーとしても60年代から活動しており、70年代中盤には英国のThe Shadowsのリズム・ギターを担当していた。ソロ・アルバムは1枚だけあり、それが本作。とても丁寧に作られた印象を受けるアルバムだ。
収録曲は全てJohn Farrarのオリジナルで、このうち3曲(2, 3, 6)を優れたメロディ・メイカーのTom Snowと、1曲(7)をThe Shadowsのリード・ギタリストであるHank Marvinと共作している。
Olivia Newton-Johnの「そよ風の誘惑」もそうだが、優しいメロディを紡ぎ、それをふんわりと華やかに仕上げる手腕が素晴らしく、本作では「Reckless / ときめき」「Cheatin' His Heart Out Again / 雨のハイウェイ」「Recovery」「Falling」「From The Heart / 真心をこめて」あたりにFarrarの良さが表れている。
ファルセットの美しいコーラスがアルバムの随所に入るので、Bee GeesのBarry Gibbあたりが参加しているのかと思いきや、実際はFarrar自らがヴォーカルを幾重にも重ねたもの。細やかな仕事に頭が下がる。
Tom Snowと共作した曲の中では「Recovery」が素晴らしい。ポップなメロディを柔らかくアレンジしたドリーミーな曲だ。
ほとんどFarrarのヴォーカルだけで最後まで聴かせる「Falling」も、しっとりと美しい曲、Olivia Newton-Johnとデュエットしたら、さぞやロマンティックだろうと想像してしまう。
そのOlivia Newton-Johnとのデュエットは、「Reckless / ときめき」の方で実現した。2008年のOlivia Newton-John & Friends名義のアルバム『A Celebration in Song』に収録され、二人の息の合ったデュエットを聴くことができる。
- ●収録曲
- Reckless / ときめき - 3:21
- Tell Someone Who Cares - 4:16
- Can't Hold Back - 3:22
- Gettin' Loose - 3:07
- Cheatin' His Heart Out Again / 雨のハイウェイ - 4:03
- Recovery - 4:22
- It'll Be Me Babe - 3:27
- Falling - 3:35
- From The Heart / 真心をこめて - 4:23
◆プロデュース: John Farrar(vo, g, k, b)
◆参加ミュージシャン: Tom Snow(k), Michael Boddicker(sy), Mike Porcaro/David McDaniels(b), Ed Greene/Michael Botts(ds)
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