John Farrar / John Farrar (1980年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、John Farrarの1980年のアルバム『John Farrar』の紹介です。

John Farrar / John Farrar (1980年) フロント・カヴァー

John Farrarはオーストラリア出身のミュージシャン。Olivia Newton-Johnのソングライター兼プロデューサーとしての仕事は有名で、「Have You Never Been Mellow / そよ風の誘惑」(75年)、「You're the One That I Want / 愛のデュエット」(78年)、「Magic」(80年)などの全米No.1ヒットを始め、彼女の多くのヒット曲やヒット・アルバムを手がけた。

ロック・バンドのメンバーとしても60年代から活動しており、70年代中盤には英国のThe Shadowsのリズム・ギターを担当していた。ソロ・アルバムは1枚だけあり、それが本作。とても丁寧に作られた印象を受けるアルバムだ。

収録曲は全てJohn Farrarのオリジナルで、このうち3曲(2, 3, 6)を優れたメロディ・メイカーのTom Snowと、1曲(7)をThe Shadowsのリード・ギタリストであるHank Marvinと共作している。

Olivia Newton-Johnの「そよ風の誘惑」もそうだが、優しいメロディを紡ぎ、それをふんわりと華やかに仕上げる手腕が素晴らしく、本作では「Reckless / ときめき」「Cheatin' His Heart Out Again / 雨のハイウェイ」「Recovery」「Falling」「From The Heart / 真心をこめて」あたりにFarrarの良さが表れている。

ファルセットの美しいコーラスがアルバムの随所に入るので、Bee GeesのBarry Gibbあたりが参加しているのかと思いきや、実際はFarrar自らがヴォーカルを幾重にも重ねたもの。細やかな仕事に頭が下がる。

Tom Snowと共作した曲の中では「Recovery」が素晴らしい。ポップなメロディを柔らかくアレンジしたドリーミーな曲だ。

ほとんどFarrarのヴォーカルだけで最後まで聴かせる「Falling」も、しっとりと美しい曲、Olivia Newton-Johnとデュエットしたら、さぞやロマンティックだろうと想像してしまう。

そのOlivia Newton-Johnとのデュエットは、「Reckless / ときめき」の方で実現した。2008年のOlivia Newton-John & Friends名義のアルバム『A Celebration in Song』に収録され、二人の息の合ったデュエットを聴くことができる。

●収録曲
  1. Reckless / ときめき - 3:21
  2. Tell Someone Who Cares - 4:16
  3. Can't Hold Back - 3:22
  4. Gettin' Loose - 3:07
  5. Cheatin' His Heart Out Again / 雨のハイウェイ - 4:03
  6. Recovery - 4:22
  7. It'll Be Me Babe - 3:27
  8. Falling - 3:35
  9. From The Heart / 真心をこめて - 4:23

◆プロデュース: John Farrar(vo, g, k, b)

◆参加ミュージシャン: Tom Snow(k), Michael Boddicker(sy), Mike Porcaro/David McDaniels(b), Ed Greene/Michael Botts(ds)

スポンサーリンク