Seawind / Seawind (海鳥) (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Seawindの1980年のアルバム『Seawind / 海鳥』の紹介です。
Seawindはハワイ生まれのフュージョン・グループ。Bob Wilson(ds)とPauline Wilson(vo)夫妻を中心に1974年に結成され、82年の解散までに4枚のアルバムを残した。Bob Wilsonはグループのほとんどの曲作りを手がけるリーダー的な存在。奥様のPauline Wilsonはキュートな美声でありながら、メンバーの強力な演奏に負けないパワフルな歌唱をする実力派である。また、Jerry Hey(tr)とLarry Williams/Kim Hutchcroft(sax)による "シーウィンド・ホーン・セクション" を擁し、そのモダンな音とテクニックも高く評価された。
このアルバムはSeawindの4作目となるラスト・アルバム。曇天の海を飛び交う海鳥をデザインした美しいフロント・カヴァーは、邦題の『海鳥』にぴったりだ。
インスト曲は「Pra Vose」の1曲のみで、残りはPauline Wilsonの爽やかでパンチのある歌声を味わえるヴォーカル曲。George Dukeがプロデュースを担当し、フュージョン、ポップス、ファンクの要素をミックスしたかっこいいサウンドに仕上げている。
Paulineはポップな「The Two of Us / ふたりは風」や「Love Him, Love Her」ではキュートに、「Still in Love」のようなバラードでは透明感のある美声で歌い、その歌声はハワイの海風(?)のように爽やか。なお、「ふたりは風」では、Carl Carlwellという男性シンガーとデュエットしている。
イントロがプログレ・フュージョンのような「Everything Needs Love / 世界に愛を」はライヴ録音されており、ホットな演奏が繰り広げられる。一方、インスト曲の「Pra Vose」はクール・ダウン用のナンバーで、アコースティック・ギターとフルートを中心とするサウンドが心地よい。
Wilson夫妻は翌年にBob & Pauline Wilson名義のアルバム『Somebody Loves You』をリリース。Seawindの他のメンバーも参加しているので、彼らの5作目のように聴くことができておすすめ。だが、その翌年(82年)に二人は離婚してしまう。
Bobはその後、Airplayのリード・シンガーのTommy FunderburkとThe FrontというCCMユニットを結成し、84年に唯一のアルバム『The Front』をリリース。こちらは、CCM/AORのアルバムとして人気が高い。
ところで、Pauline Wilsonは、セサミ・ストリートの音楽アルバム『In Harmony: A Sesame Street Record』(80年)において、「A Friend for All Seasons」という曲をGeorge Bensonとデュエットしている。このアルバムはグラミー賞の「Grammy Award for Best Recording for Children」を受賞しており、これによりPaulineは、ハワイ出身のヴォーカリストで初のグラミー受賞者になったそうだ。
- ●収録曲
- What Cha Doin' - 4:35
- The Two of Us / ふたりは風 - 3:49
- Love Him, Love Her - 3:26
- Everything Needs Love / 世界に愛を - 5:46
- Shout - 4:26
- Still in Love - 3:53
- Pra Vose - 4:16
- I Need Your Love - 3:54
- Long, Long Time - 3:58
◆プロデュース: George Duke(k, bv)
◆参加ミュージシャン: Pauline Wilson(vo), Bud Nuanez(g), Larry Williams(k, woodwinds), Ken Wild(b), Bob Wilson(ds), Kim Hutchcroft(woodwinds)
with Roland Bautista(g), Airto/Paulinho Da Costa(per), Jerry Hey(tp, flugelhorn), Carl Carwell/Josie James/Lynn Davis/Greg Walker(bv), etc
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