The Front / The Front (1984年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、The Frontの1984年のアルバム『The Front』の紹介です。

The Front / The Front (1984年) フロント・カヴァー

The Frontは、Bob Wilson(ds, k)とTommy Funderburk(vo)の2人が結成したCCM(Contemporary Christian Music)のロック・ユニット。

Tommy Funderburkは強力なハイトーン・ヴォイスを持ち味とするセッション・シンガーで、David FosterとJay Graydonが組んだ名ユニット「Airplay」(80年)のリード・シンガーに抜擢されたことで有名。一方のBob Wilsonは、ハワイのフュージョン・グループであるSeawindのリーダー兼ドラマーで、Seawindの解散後、ロック色を強める方向性に舵を切って作ったユニットがThe Frontだ。

この『The Front』は彼らの唯一のアルバム。二人は敬虔なクリスチャンであり、CCMらしいタイトルの曲が並ぶ。曲作りにおいては、Bob Wilsonが全曲の作曲を担当し、Tommy Funderburkがほとんどの作詞を担当。プロデュースは二人の共同になっている。

Tommy FunderburkのパワフルなヴォーカルをフィーチャしたサウンドはAirplay的だが、Airplayのような華やかさはなく、クールな質感の硬派なロック・アルバムだ。

「It's Hard To Take」や「Holy Light」、ラストの「How Long」はメロディアス・ロック風のハードなナンバーで、Tommy Funderburkのメタリックなシャウトがかっこいい。随所でソリッドなギターを弾いているのはDann Huff。ベースはDennis Belfieldが担当し、SeawindのメンバーだったLarry Williamsがキーボードを弾いている。

他の曲は、リリジャスなムード満点の「All Under Him」、軽快なAORナンバーの「King Of Glory」、シンセドラムの音に80'sらしさを感じる「The Promise」、クール&エモーショナルな「Silent Night」、美メロなバラードの「Tonight」という内容で、バランスがいい。個人的には、「Silent Night」から「Tonight」への流れを気に入っている。

The Frontはこの1作のみで解散するが、3年後の87年には、Bob, Tommy, Larry Williamsの3人で「What If」を結成し、アルバム『What If』を発表する。こちらはギターをMichael Landauが担当しており、The Frontをより一層硬質にしたロック・アルバムになっている。

●収録曲
  1. It's Hard To Take - 4:44
  2. Holy Light - 4:31
  3. All Under Him - 4:23
  4. King Of Glory - 4:50
  5. The Promise - 4:20
  6. Silent Night - 4:44
  7. Tonight - 4:27
  8. How Long - 4:09

◆プロデュース: Bob Wilson(ds, k), Tommy Funderburk(vo)

◆参加ミュージシャン: Dann Huff(g), Kevin Clark(g, b), Larry Williams(k), Dennis Bellfield(b), Tom Kelly/Tata Vega/Andrae Crouch/Phillis St. James/Linda McCrary/Kristle Edwards(bv), etc

スポンサーリンク