Scott Smith / Face To Face (1984年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Scott Smithの1984年のアルバム『Face To Face』の紹介です。

Scott Smith / Face To Face (1984年) フロント・カヴァー

Scott Smithは、80年代以降のContemporary Christian Music (CCM)シーンで活躍したアレンジャー&プロデューサー。ゴスペル界大御所のAndraé Crouch (アンドレ・クラウチ)や、ゴスペル・グループのThe Winans (ワイナンズ)、Smokey Robinsonなどの諸作を、プロデュース、アレンジ、曲作りの面で支えている。

この『Face To Face』は、Scott Smithの唯一のアルバム。といっても、主役の自分はいつものように裏方に回っていて、Michael Ruffを始めとする魅力的なシンガーを招いてフロントで歌わせている。

収録曲は共作も含めて全てオリジナルで、共作者は、Stephen Tavani(1, 3, 6, 8, 9の5曲)、Michael Ruff(1, 4)、Howard Smith(4, 7)という顔ぶれ。リード・ヴォーカルについては、Michael Ruffが4曲(2-5)、Vonda Sheppardが2曲(1, 8)、Marvin&Benjamin Winansが1曲(6)、Howard Smithが1曲(7)、Stephen Tavaniが1曲(9)を担当している。

こうして見るとMichael Ruffの貢献が大きく、特にリード・ヴォーカルのほとんどを担当した前半は、さながらMichaelのアルバム。Michael Ruffは、この年に『Once In A Lifetime』という名作を発表しており、その姉妹作のような印象だ。クールなシティ・ポップの「You're Too Late」や、Michaelがしっとりと歌う美しいバラードの「Face To Face」など、素敵な曲が多い。

女性シンガーのVonda Sheppardは、Michael Ruffの当時のガール・フレンド。このアルバムが発表された年には21歳の若さだが、声にパンチがあって、歌いっぷりも堂々としている。サビのメロディーがキャッチーな「Leave It Up To Him」などは、Miami Sound Machineのようにかっこいいダンス・ポップになっている。

「Set Free」はムードたっぷりなミディアム・チューン。憂いを帯びたメロディを歌うHoward Smithのソウルフルで野性味ある歌声が魅力的。バック・ミュージシャンは、Abraham Laboriel(b), Bill Maxwell(ds), Alex Acuna(per)等、Koinoniaのメンバーが中心で、ゆとりのある演奏が心地いい。

雲の合間から光が射しているフロント・カヴァーをよくよく見ると、そこには人の顔も見えていて、ちょっとドキッとする。いや、CCMのアルバムだけに、これは人ではないということかな?

●収録曲
  1. Leave It Up To Him - 4:59
  2. You're Too Late - 3:54
  3. The Vision - 4:07
  4. Face To Face - 4:58
  5. What Happened - 4:08
  6. Give Him Thanks - 3:45
  7. Set Free - 4:16
  8. Prince Of The Dark - 4:20
  9. What You Mean To Me - 4:58

◆プロデュース: Scott V. Smith(ar, k, drum-prog), Stephen Tavani(lead vo)

◆参加ミュージシャン: Vonda Sheppard/Marvin & Benjamin Winans(lead vo), Michael Ruff(lead vo, k), James Hurrah(g), Abraham Laboriel/Leon Gaer(b), Bill Maxwell(ds, per), Alex Acuna(per), Kim Hutchcroft/Eric Marienthal(sax), The Winans/Howard Smith/Howard McCray/Alfie Silas/Debbie McClendon(bv), etc

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