Dan Peek / Doer Of The Word (1984年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Dan Peekの1984年のアルバム『Doer Of The Word』の紹介です。
本作は、AmericaのメンバーであったDan Peekの2枚目のソロ・アルバム。爽やかなハーモニーとアコースティック・サウンドを持ち味とするAmericaは、実はロンドン生まれのバンドである。メンバー3人のうち、DanとGerry Beckleyはアメリカ人だが、Dewey Bunnellはイギリス人。父親が共にイギリス駐留のアメリカ空軍に勤めていた関係で、3人はアメリカン・スクールで知り合った。
Dan PeekはAmericaに1976年まで在籍し、8枚目のアルバム『Harbor』(77年)の制作後にグループを離れている。ソロとしてのファースト・アルバム『All Things Are Possible』(78年)は、Contemporary Christian Music (CCM)の重鎮であるChris Christianのプロデュースにより制作された。
この『Doer Of The Word』も、Chris Christianによるプロデュース。また、Chrisの立ち上げたCCMレーベルであるHome Sweet Home Recordsからのリリースである。曲に関しては、Dan Peekが共作も含めて7曲(2-4, 6-9)を作り、残りをJeremy Dalton(1)、Chris Christian(5)、Tom Peek(10)が1曲ずつ担当。曲のタイトルは直球のCCMだけど、春風のように爽やかなサウンドは70年代のAmericaを思わせる。
タイトル曲の「Doer Of The Word」にはAmericaのGerry Beckleyもゲストで参加。爽やかなメロディとサウンドは往年のAmericaそのもので、さびの部分のハーモニーはAmericaの82年のヒット曲「風のマジック」(米8位)にそっくりだ。
「Holy Spirit」や「Redeemer」、「I Believe In Miracles」、「Power And Glory」などの爽やかなアコースティック・ロック調の曲も、"Americaのスタイル" という感じ。
一方、Chris Christianが曲作りに関わった「Everything」「Your Father Loves You」「Brotherly Love」の3曲は、ソフトでマイルドなAORナンバー。メロディも歌声も優しくて、聴いていてとても癒される。
Dan Peekは2011年に60歳で他界した。Americaは残り二人のメンバーで今も活動しており、アルバムも出している。特に、2011年の『Back Pages』は素晴らしいカヴァー・アルバム、S&Gの「America」や、Jimmy Webbの「Crying in My Sleep」、Bob Dylanの「My Back Pages」など、渋すぎる曲をセレクトしており、かなりおすすめ。
- ●収録曲
- Doer Of The Word - 2:49
- Holy Spirit - 3:33
- Reach Out - 3:29
- Everything - 3:26
- Your Father Loves You - 3:47
- Brotherly Love - 2:56
- Redeemer - 3:51
- I Believe In Miracles - 2:42
- Thank You Lord - 3:23
- Power And Glory - 3:41
◆プロデュース: Chris Christian
◆参加ミュージシャン: クレジットなし
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