Paul Clark / Out Of The Shadow (1984年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Paul Clarkの1984年のアルバム『Out Of The Shadow』の紹介です。
Paul ClarkはCCM(Contemporary Christian Music)シーンの草分け的ミュージシャンの一人。1971年から活動しており、ソロ・アルバムやPaul Clark & Friends名義のアルバムをこれまでに20枚近く制作している。チャートを賑わすようなヒット作こそないが、格調高いアルバムを作る印象がある。
この『Out Of The Shadow』は10作目となるアルバム。Paul Clarkを代表するアルバムであり、80年代のCCM/AORシーンの中でもトップ・クラスのクオリティを誇る1枚。
これまでのアルバムと同様にPaul Clarkがセルフ・プロデュースし、共作を含めて全曲を自作。ミディアム~アップテンポな曲とスローな曲で前後半を分けるというコントラストの効いた構成で仕上げている。
クール&メロウな「Give Me Your Heart」で始まる前半は、さながらPagesの81年の名作『Pages』のような味わい。フュージョン・フレイヴァーのタイトル曲「Out Of The Shadow」やジャズィな「1984」など、クールな質感の曲が並び、ソウルフルな歌声と美しいコーラス、上品で引き締まった演奏を味わうことができる。なお、実際にPagesの二人も参加し、2曲(1, 8)で美しいバック・コーラスを添えている。
幻想的な「The Minstrel's Voyage」で始まる後半は、一転してスローで叙情的な曲が最後まで続く。その中でも、後半からギター・インストになる「I Will Fly」や、再びPagesのコーラスを味わえる「I Need Your Love Again」、Kelly Willardとデュエットした「Love Of My Life」の美しさは格別。
Pagesのアルバムが好きな人には文句なくお薦めできる一枚。ヒット・チャートに表れないところに素晴らしいアルバムがあることを教えてくれる。
- ●収録曲
- Give Me Your Heart - 4:06
- Mr. Me - 3:59
- Out Of The Shadow - 4:48
- 1984 - 3:10
- It's You - 2:58
- The Minstrel's Voyage - 2:55
- I Will Fly (In The Wind) - 6:00
- I Need Your Love Again - 3:49
- Love Of My Life - 4:01
- Father God - 3:30
◆プロデュース: Paul Clark(vo, k)
◆参加ミュージシャン: Kelly Willard(vo), Hadley Hockensmith/Carlos Rios/Phil Keaggy(g), Smitty Price(k), Leon Gaer(b), Mike Baird(ds), Michael Fisher(per), Brandon Fields(sax), Richard Page/Steve George/Tommy Funderburk/Phyllis St. James/Alfie Silas(bv)
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