Roby Duke / Not The Same (1982年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Roby Dukeの1982年のアルバム『Not The Same / ロング・アフタヌーン』の紹介です。

Roby Duke / Not The Same (1982年) フロント・カヴァー

Roby DukeはアメリカのCCM(Contemporary Christian Music)シーンのシンガー・ソングライター。2007年に他界するまでに7枚のアルバムを残しており、寡作ではあるが、とてもクオリティの高いアルバムを作るミュージシャンである。

この『Not The Same』はデビュー・アルバム。素敵な10曲を収録しており、そのうち7曲はRoby Dukeの自作。残りの曲については、Cathy Spurr(4)、John Patitucci(6)、Bruce Hibbard(7)が作者になっている。バック・ミュージシャンには、KOINONIAのメンバーのHarlan Rogers(k)とHadley Hockensmith(g)や、後にChick Coreaに見出されるJohn Patitucci(b)が参加。John Patitucciはアレンジにも関わった。

1曲目の「Love Is Here To Stay」は、軽快なリズムに上品なメロディを乗せて歌う気持ちのいいナンバー。Roby Dukeの伸びやかな歌声には、柔らかい包容力がある。「肩にインコを乗せたジャケットのおじさんが、こんなに爽やかな声で歌うの?」。Christopher Crossを初めて認識したときと同じ新鮮な感動が、デ・ジャヴのように蘇る(かも)。

続く「Time To Stand」は、ソフト&メロウのお手本のような曲。特に、ストリングスの美しさに感動する。ストリングス・アレンジを担当したTom Keeneは、キーン兄弟のTom Keaneとは一文字違い。Tom Keeneの美しいストリングスは、「Rested In Your Love / 愛はやすらぎ」でも再び味わえる。

Cathy Spurr作の「Carpenter」は至福のバラード。Roby Dukeはこの曲をお気に入りのようで、自分がプロデュースを手がけたLaury Boone Browning (Debbie Booneの妹) の87年のアルバム『Thursday's Child』でも取り上げた。

Bruce Hibbard作の「Can't Stop Runnin'」も、Hibbardらしい気持ちのいい曲。この曲は、Marty McCall & Fireworksの81年のアルバム『Up』で、ひと足早く歌われている。

信じられないことだが、Roby Dukeはこの時26歳。20代とは思えないような大人の包容力を醸し出すジャケットは、案の定、当時の日本盤LPでは差し替えられた。ちなみに、邦題は『ロング・アフタヌーン』。

Roby Duke / Not The Same (1982年) 日本盤フロント・カヴァー

日本だけではなく、92年にアメリカでCD化されたときも、アコースティック・ギターのジャケットに差し替えられている。収録曲も一部変わり、5曲目の「Feel It Comin'」が「You Love Me」という曲に替えられた。

Roby Duke / Not The Same (1982年) US盤フロント・カヴァー

Roby Dukeの84年のセカンド・アルバム『Come Let Us Reason』も本作に匹敵するか、それ以上に素晴らしい内容だが、CDがなかなか再発されないのが残念だ。

●収録曲
  1. Love Is Here To Stay - 3:59
  2. Time To Stand - 3:46
  3. Seasons Of Change - 4:55
  4. Carpenter (Do What You Got To Do) - 4:15
  5. Feel It Comin' - 3:19
  6. O' Magnify The Lord - 3:40
  7. Can't Stop Runnin' - 3:34
  8. Rested In Your Love / 愛はやすらぎ - 3:37
  9. Not The Same - 3:57
  10. Promised Land - 4:15

◆プロデュース: Jonathan David Brown

◆参加ミュージシャン: Roby Duke(vo), Hadley Hockensmith/Marty Walsh(g), Harlan Rogers/Rob Watson(k), John Patitucci(b), Keith Edwards(ds), Alex MacDougall(per)

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