Roby Duke / Come Let Us Reason (1984年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Roby Dukeの1984年のアルバム『Come Let Us Reason』の紹介です。
Roby DukeはアメリカのCCM(Contemporary Christian Music)シーンのシンガー・ソングライター。2007年に他界するまでに7枚のアルバムを残しており、寡作ではあるが、とてもクオリティの高いアルバムを作るミュージシャンである。
この『Come Let Us Reason』はセカンド・アルバム。82年のデビュー作『Not The Same』も見事な作品だが、本作のクオリティはそれを凌ぐかも。収録された10曲は、Bill Northの提供した「All Lost」と「Watching For You」の2曲を除いて、Roby Dukeの自作。アップ・テンポの曲にしてもバラードにしても、メロディの美しさとサウンドの洗練度が際立っている。
特に、風に向かって立つような凛々しさのある「Come Let Us Reason」に始まり、ロマンティックな「All Lost」「I'm Persuaded」と続くオープニングの3曲は、数あるAORの名作の中でも格別の心地よさ。
演奏面ではDann Huff(g), Larry Williams(k, sax), John Patitucci(b), Bob Wilson(ds), Pagesの二人(bv)などの実力派が腕をふるい、清潔感に溢れ、引き締まったサウンドを生み出している。Pagesの二人にとっても、新グループのMr. Misterを立ち上げた年。随所で聴こえてくる二人のコーラスの何と美しいことか…。
Roby Dukeの歌声には温かい包容力があり、また力強い。風貌に似合わずといったら失礼だが、ロマンティックな響きがある。このとき、Robyは28歳。とても老成した28歳だ。
フロント・カヴァーでは、Roby Dukeが窓の向こうを見つめて思いに耽る。見つめる先には、街灯の明かりのもとで男性がサックスを吹いている。このデザインは、前作の完成直後に他界した父を偲んだもの。Robyの父は、かつてサックス・プレイヤーだった。
"To my dad; how I miss him." と記されたラストの「There Is Just One Way」は、その父へ捧げた歌。しっとりした曲だが、前を向くRobyの気持ちが歌われているようで、清々しい。
- ●収録曲
- Come Let Us Reason - 3:38
- All Lost - 3:31
- I'm Persuaded - 3:44
- Watching For You - 3:58
- Fight The Fight - 3:15
- Win Or Lose (Callin') - 4:00
- Here I Am - 3:49
- Closer To You - 3:14
- Lay It Down - 3:39
- There Is Just One Way - 3:34
◆プロデュース: Win Kutz, Roby Duke(vo, ar, k)
◆参加ミュージシャン: Harlan Rogers/John Schreiner(ar, k), Dann Huff/Wayne Brasel(g), Larry Williams(k, sax), John Patitucci/Nathan East(b), Bob Wilson(ds), Alex MacDougall(per), Richard Page/Steve George/Kelly Willard(bv), etc
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