Chris Eaton / Vision (1986年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Chris Eatonの1986年のアルバム『Vision』の紹介です。
Chris Eatonは、英国生まれのシンガー・ソングライター。主にContemporary Christian Music(CCM)シーンで活動し、英国のベテラン・シンガーのCliff Richardに多くの楽曲を提供したほか、アメリカでもAmy Grantなどが彼の曲を歌っている。枚数は少ないが、自身のアルバムも4枚ほどを発表していて、この『Vision』がファースト・アルバムになる。
収録曲は全てChris Eatonの自作。ドライヴ感のあるロック・ナンバーが多いが、ラフでワイルドな感じではなく、綺麗なメロディやサウンドの透明感が印象に残る。バラード系のメロディも美しい。
アメリカからはRuss Taff/Michael Landau(g), Carlos Vega(ds), Tommy Funderburk/Tom Kelly(bv)など、イギリスからはPhil Palmer(g), Mel Collins(sax)などが参加していて、ミュージシャンの顔ぶれがとても豪華。ドラムスやキーボードの音が強調された80年代らしいアレンジのせいもあって、結構分厚いサウンドになっている。
タイトル曲の「Vision」は、Russ Taffの85年のアルバム『Medals』に提供したメロディアスなロック・ナンバーで、そちらでは歌詞が少しアレンジされている。同じ路線の「Hold Back The Tears」はJanet Jacksonの84年のアルバム『Dream Street』への提供曲で、邦題は「涙をこらえて」。ポップな「Golden Rule」は、英国のCCMシンガーのSheila Walshのアルバム『Triumph in the Air』(84年)に提供された曲だ。
Chris Eatonの声質はややハスキー。ヨーロッパ的なというか、どこか哀愁を帯びているところが魅力で、「When My Heart Breaks」や「It Was Love」のようなバラード・ナンバーはとてもロマンティック。
Chris本人の選ぶベスト・プレイは「Talk To Me」とのこと。ポップな感覚のビートとフックの効いたメロディ、"overnight sensation" というキャッチーなフレーズもあって、シティ・ポップ的な華のあるナンバー。
CCM色が全面に出ている曲がなく(あるのかも知れないけれど、気づかない)、純粋にメロディアスな洋楽ロックとして楽しめる。Chris Eatonの歌声はエモーショナルで、寒い季節に合います。
- ●収録曲
- Vision - 4:07
- Don't Underestimate My Love - 4:38
- When My Heart Breaks - 5:04
- Golden Rule - 4:31
- Hold Back The Tears - 4:24
- Love For The Common Man - 4:34
- Talk To Me - 4:13
- This Is For Real - 4:23
- Don't Play Games - 4:40
- It Was Love - 5:20
◆プロデュース: Brown Bannister, Jack Joseph Puig
◆参加ミュージシャン: Dann Huff/Paul Jackson Jr./Michael Landau/Phil Palmer(g), Robbie Buchanan/Rhett Lawrence/Larry Williams(k), Neil Stubenhaus/Nathan East/Pino Palladino(b), Paul Leim/Carlos Vega(ds), Lenny Castro(per), Mel Collins(sax), Tommy Funderburk/Tom Kelly/Mark Williamson/Don Snow(bv), etc
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