Chris Eaton / Vision (1986年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Chris Eatonの1986年のアルバム『Vision』の紹介です。

Chris Eaton / Vision (1986年) フロント・カヴァー

Chris Eatonは、英国生まれのシンガー・ソングライター。主にContemporary Christian Music(CCM)シーンで活動し、英国のベテラン・シンガーのCliff Richardに多くの楽曲を提供したほか、アメリカでもAmy Grantなどが彼の曲を歌っている。枚数は少ないが、自身のアルバムも4枚ほどを発表していて、この『Vision』がファースト・アルバムになる。

収録曲は全てChris Eatonの自作。ドライヴ感のあるロック・ナンバーが多いが、ラフでワイルドな感じではなく、綺麗なメロディやサウンドの透明感が印象に残る。バラード系のメロディも美しい。

アメリカからはRuss Taff/Michael Landau(g), Carlos Vega(ds), Tommy Funderburk/Tom Kelly(bv)など、イギリスからはPhil Palmer(g), Mel Collins(sax)などが参加していて、ミュージシャンの顔ぶれがとても豪華。ドラムスやキーボードの音が強調された80年代らしいアレンジのせいもあって、結構分厚いサウンドになっている。

タイトル曲の「Vision」は、Russ Taffの85年のアルバム『Medals』に提供したメロディアスなロック・ナンバーで、そちらでは歌詞が少しアレンジされている。同じ路線の「Hold Back The Tears」はJanet Jacksonの84年のアルバム『Dream Street』への提供曲で、邦題は「涙をこらえて」。ポップな「Golden Rule」は、英国のCCMシンガーのSheila Walshのアルバム『Triumph in the Air』(84年)に提供された曲だ。

Chris Eatonの声質はややハスキー。ヨーロッパ的なというか、どこか哀愁を帯びているところが魅力で、「When My Heart Breaks」や「It Was Love」のようなバラード・ナンバーはとてもロマンティック。

Chris本人の選ぶベスト・プレイは「Talk To Me」とのこと。ポップな感覚のビートとフックの効いたメロディ、"overnight sensation" というキャッチーなフレーズもあって、シティ・ポップ的な華のあるナンバー。

CCM色が全面に出ている曲がなく(あるのかも知れないけれど、気づかない)、純粋にメロディアスな洋楽ロックとして楽しめる。Chris Eatonの歌声はエモーショナルで、寒い季節に合います。

●収録曲
  1. Vision - 4:07
  2. Don't Underestimate My Love - 4:38
  3. When My Heart Breaks - 5:04
  4. Golden Rule - 4:31
  5. Hold Back The Tears - 4:24
  6. Love For The Common Man - 4:34
  7. Talk To Me - 4:13
  8. This Is For Real - 4:23
  9. Don't Play Games - 4:40
  10. It Was Love - 5:20

◆プロデュース: Brown Bannister, Jack Joseph Puig

◆参加ミュージシャン: Dann Huff/Paul Jackson Jr./Michael Landau/Phil Palmer(g), Robbie Buchanan/Rhett Lawrence/Larry Williams(k), Neil Stubenhaus/Nathan East/Pino Palladino(b), Paul Leim/Carlos Vega(ds), Lenny Castro(per), Mel Collins(sax), Tommy Funderburk/Tom Kelly/Mark Williamson/Don Snow(bv), etc

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