Michael Franks / Passionfruit (1983年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Michael Franksの1983年のアルバム『Passionfruit』の紹介です。
Michael FranksはAORを代表するミュージシャンの一人。ジャズやボサノヴァの香りがするエレガントな楽曲をふんわりとしたウィスパー・ヴォイスで歌うスタイルは独特で、一聴するとMichael Franksと分かる。また、端正な顔立ちと知的な佇まい、スタイリッシュなカヴァー・アートといったビジュアル面も魅力。
この『Passionfruit』は、8枚目のスタジオ・アルバム。70年代のアルバムのほとんどはTommy LiPumaによるプロデュースだが、80年代になるとプロデューサーが変わり、本作以降の3作品はRob Mounseyのプロデュース。70年代のメロウ・テイストの諸作と比べると音がシャープな印象になっており、電子音を取り入れた「Now That Your Joystick's Broke / ジョイスティックが壊れる時」のような80'sらしい曲もある。
「Rainy Night In Tokyo」は、柔らかい雨音が聞こえてくるようなしっとりした情緒のある曲。"kimono" や "sake" などの和語が出てくるところは、親日家として知られるMichael Franksらしい。私の持っている輸入盤のCDには、"東京の夜は雨" という日本語のタイトルがしっかりと併記されている。
「When Sly Calls (Don't Touch That Phone) / スライが電話をしてきたら」は、アルバムの中で一番スタイリッシュな曲。"Don't touch that phone" というフレーズを無機質に繰り返す女性コーラスが印象的で、曲の終盤になると、Randy Breckerのフリューゲル・ホーンがシャープに切り込んでくる。最高にクールです。
「Never Satisfied」と「How The Garden Grows / ふたりの花園」では、Toots Thielemansのハーモニカをたっぷり味わえる。前者ではエレガントな曲調を引き立てるように華のある感じで、後者では豊かな郷愁を残すようにしっとりと演奏される。どちらも絶品。
ちなみに、アルバムのデザインを担当したLaura LiPumaは、Tommy LiPumaの姪。この翌年に、Prince And The Revolutionの大ヒット作『Purple Rain』(84年)のデザインを手がけて名を上げている。
- ●収録曲
- Alone At Night / ひとりぼっちの夜 - 4:35
- Never Satisfied - 3:51
- Amazon - 5:40
- Now That Your Joystick's Broke / ジョイスティックが壊れる時 - 2:48
- Sunday Morning Here With You / 愛のサンデイ・モーニング - 4:33
- Never Say Die - 3:36
- Rainy Night In Tokyo / 東京の夜は雨 - 4:42
- Tell Me All About It / 愛の物語 - 4:31
- When Sly Calls (Don't Touch That Phone) / スライが電話をしてきたら - 5:22
- How The Garden Grows / ふたりの花園 - 3:37
◆プロデュース: Rob Mounsey(k)
◆参加ミュージシャン: Hiram Bullock/Jeff Mironov/John Tropea(g), Will Lee(b, bv), Neil Jason(b), Steve Gadd/Chris Parker(ds), Nana Vasconcelos(per), Astrud Gilberto/Kenny Rankin/Hamish Stuart(bv), Randy Brecker(tp), Toots Thielemans(harmonica), etc
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