Airplay / Airplay (ロマンティック) (1980年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Airplayの1980年のアルバム『Airplay / ロマンティック』の紹介です。

Airplay / Airplay (ロマンティック) (1980年) フロント・カヴァー

Airplayは、Jay Graydon(g, vo), David Foster(k), Tommy Funderburk(vo)の3人によるユニット。セッション・プレイヤー、ソングライター、アレンジャー、プロデューサーと、マルチな才能を発揮して名を上げていたGraydonとFosterが意気投合し、そこにパワフルなハイ・トーン・ヴォイスで歌うTommy Funderburkを迎えて結成された。

この『Airplay / ロマンティック』は、Airplayの唯一のアルバム。GraydonとFosterという、AORシーンをリードする二人が組んだことや、ワン&オンリーなアルバムであること、期待を裏切らないクオリティであることから、別格の評価をされている人気作。

プロデュースとアレンジをGraydonとFosterが担当し、全ての曲を二人を中心に書いている。Steve Kipner(2, 4, 8)、Tom Kelly(1)、Bill Champlin(10)、Allee Willis(3, 6)など、優秀なライターが共作者になり、力のある曲が多い。

リード・ヴォーカルはFunderburkとGraydonで分け合い、Graydonが4曲(2, 4, 5, 9)を担当。Graydonの歌声はマイルドで爽やかで、歌い回しも器用だが、キーの高い曲についてはFunderburkが歌っている。

シングルには「Should We Carry On」「Nothin' You Can Do About It / 貴方には何も出来ない」が選ばれ、日本では「She Waits For Me / 彼女はウェイト・フォー・ミー」がファースト・シングルになった。いずれも、Graydonのリード・ヴォーカル曲だ。

切れ味の鋭いホーン・セクションが印象的な「Nothin' You Can Do About It / 貴方には何も出来ない」は、Graydonが前の年にプロデュースしたThe Manhattan Transferのアルバム『Extensions』の収録曲。Leslie Smithも82年のアルバム『Heartache』でこの曲をカヴァーしている。本作の中でGraydonが一番気に入っているギター・ソロが、この曲のソロらしい。

甘美なバラードの「After The Love Is Gone」は、EW&Fの大ヒット曲(79年, 米2位)のセルフ・カヴァー。前半ではFunderburkが、サビではBill Champlinがリード・ヴォーカルを担当している。Graydonのギターも華やかに鳴って、とてもゴージャスな聴き心地。

他の曲も様々なアーティストに歌われていて、主なカヴァー・バージョンの収録アルバムは次のとおり。



サポート・ミュージシャンにはTOTOのJeff Porcaro(ds), Mike Porcaro(b), Steve Lukather(g)をはじめ、Mike Baird(ds), Ray Parker Jr.(g)等が参加し、演奏がとても力強い。バック・ヴォーカルもBill Champlin, Tom Kelly, Max Gronenthalという実力派が務めている。

1曲目の「Stranded」が圧巻。Tommy Funderburk(vo)のヴォーカルに力が漲っていて、Funderburk & Tom Kellyによる分厚いコーラスも迫力満点。Jeff Porcaro(ds), Mike Porcaro(b), Jay Graydon(g)の演奏もノリノリで、特に曲のエンディングにかけてのアンサンブルの盛り上がりが凄い。

●収録曲
  1. Stranded - 4:28
  2. Cryin' All Night - 4:47
  3. It Will Be Alright - 4:00
  4. Nothin' You Can Do About It / 貴方には何も出来ない - 4:42
  5. Should We Carry On - 3:47
  6. Leave Me Alone - 4:35
  7. Sweet Body - 4:40
  8. Bix - 4:15
  9. She Waits For Me / 彼女はウェイト・フォー・ミー - 3:41
  10. After The Love Is Gone - 4:29

◆プロデュース: Jay Graydon, David Foster

◆参加ミュージシャン: Jay Graydon(g, vo, ar), David Foster(k, bv, ar), Tommy Funderburk(vo)

with Steve Lukather/Ray Parker Jr.(g), Steve Porcaro/Pete Robinson(sy), David Hungate(b), Jeff Porcaro/Mike Baird(ds), Jerry Hey(tp), Bill Champlin/Tom Kelly/Max Gronenthal(bv), etc

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