Livingston Taylor / Man’s Best Friend (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Livingston Taylorの1980年のアルバム『Man's Best Friend』の紹介です。
Livingston Taylorは、James Taylorの弟。兄と同じシンガー・ソングライターで、1970年のアルバム・デビューから現在に至るまで、兄とほぼ同じペースでアルバムを作り続けている。Taylor兄弟はAlex, James, Livingston, Kate, Hughの5人で、全員がミュージシャンだ。
兄のJamesと似ているのはアルバム制作のペースだけではない。アコースティックな響きのある穏やかな曲調や歌声、歌い方も似ている。特に歌声に関しては、兄と区別が付かないほど。なので、彼のアルバムはJames Taylorのアルバムのように聴けてしまう。
この『Man's Best Friend』は5枚目のスタジオ・アルバムで、プロデュースをJeff BaxterとJohn Boylanが担当した。Jeff Baxterが6曲(1, 4, 5, 6, 8, 9)を、John Boylanが残りの曲をプロデュースしている。
Jeff BaxterはSteely DanとThe Doobie Brothersのギタリストを務め、79年にThe Doobie Brothersを離れている。John BoylanはLinda RonstadtのアルバムやBostonのデビュー・アルバムなどを手がけたプロデューサーだ。シンガー・ソングライターのTerence BoylanはJohnの弟にあたる。
本作にはカヴァー曲が4曲(2, 3, 6, 10)収録されている。
「Dance With Me」はOrleansの75年のアルバム『Let There Be Music』に収録されたヒット曲で、John Hall夫妻の作。「First Time Love」はPat Alger等の作で、Pat AlgerもArtie Traum & Pat Alger名義の80年のアルバム『From The Heart』に収めている。
「Dancing In The Streets」は、Martha & The Vandellasの歌により64年に大ヒットしたモータウン・クラシック。そして「Marie」は、Randy Newmanの74年のアルバム『Good Old Boys』の収録曲だ。このうち「First Time Love」はシングル・カットされ、Billboard Pop Singlesチャートの38位をマークした。
John Boylanのプロデュースした曲はシンガー・ソングライターらしい曲調であるのに対し、Jeff Baxterのプロデュースした曲には、軽快でポップな「Ready Set Go」や「Sunshine Girl」、カリプソの「Face Like Dog」、ジャジーにスウィングする「Pajamas」など、リズムを意識したものが多い。
本作の穏やかな明るさはLivingston Taylorの性格の表れかも知れない。兄のJamesには内省的な印象があるので、よく似た兄弟の唯一の違いはそのあたりだろうか。
- ●収録曲
- Ready Set Go - 3:14
- Dance With Me - 3:13
- First Time Love - 2:41
- Sunshine Girl - 3:49
- You Don't Have To Choose - 3:26
- Dancing In The Streets - 3:25
- Out Of This World - 2:31
- Face Like Dog - 4:04
- Pajamas - 1:54
- Marie - 2:17
◆プロデュース: Jeff Baxter(g), John Boylan
◆参加ミュージシャン: Livingston Taylor(vo, g), Larry Carlton/Steve Cropper(g), Paulinho Da Costa/Victor Feldman(per), Scott Edwards/Neil Stubenhaus(b), Ed Greene/Russ Kunkel/Jeff Porcaro/Rick Shlosser(ds), Tom Funderbunk/Howard Kaylan/Tom Kelly/Don Henley(bv), etc
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