Heat / Heat (1980年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Heatの1980年のアルバム『Heat』の紹介です。

Heat / Heat (1980年) フロント・カヴァー

Heatは1979年にLAで結成されたブラック・コンテンポラリー・グループ。サックス奏者のTom Savianoが、Joe Pizzulo、Jean Marie Arnoldという男女二人のシンガーと共に結成した3人組である。彼らは80年と81年にアルバムを1枚ずつ残しており、この『Heat』はファースト・アルバム。

Tom SavianoはGino CunicoやMelissa Manchester、Leo Sayerなど、様々なアーティストのアルバムにサックス奏者やホーン・アレンジャーとして参加した実力派。女性シンガーのJean Marie ArnoldはTomの奥様で、セッション・シンガーとして、Tom同様に様々なアーティストと共演している。

男性シンガーのJoe Pizzulo(パズーロ)は、本作1枚でHeatを離れ、Sérgio Mendesのグループで活躍する。Sérgio Mendesの83年のアルバム『Sérgio Mendes』に収録された名バラード「Never Gonna Let You Go」の男性ヴォーカルはJoe Pizzuloだ。

演奏面では、EW&FやSeawindのようなファンキーなホーン・セクションが活躍する。一方で、曲にはエレガントでメロウな感覚があり、そのバランスがとてもナイス。キュートでパンチの効いたJeanの歌声は、Seawindの女性シンガーのPauline Wilsonに似ている。

収録曲は全て、Tom SavianoまたはTom夫妻のオリジナル。ラストの7分を超える「Billet Doux」のみインストゥルメンタルで、そこではTomがGrover Wahsington Jr.のようなムードのあるサックス演奏を披露する。

本作にはDavid Fosterも参加し、3曲(2, 3, 4)でキーボードを弾いている。そのうちのバラード曲「Baby (This Love That We've Found)」は、EW&Fの「After The Love Has Gone」みたいに華やかで甘美。続く「Don't You Walk Away」のアーバン・メロウな感覚は、Niteflyteのように素敵だ。

音がナイスなだけに、カンフー映画のパンフを思わせるジャケットがちょっと残念。81年の2作目『Still Waiting』のジャケットもいまいち…

●収録曲
  1. Just Like You - 4:37
  2. It's Up To You - 3:58
  3. Baby (This Love That We've Found) - 5:12
  4. Don't You Walk Away - 4:11
  5. Pickin' And Choosin' - 4:10
  6. Whatever It Is - 4:34
  7. Side Steppin' - 4:12
  8. Billet Doux - 7:28

◆プロデュース: Tom Saviano, David Wolfert

◆参加ミュージシャン: Tom Saviano(sax, ar), Jean Marie Arnold/Joe Pizzulo(vo)
with Paul Jackson Jr./Charles Fearing/Thom Rotella(g), David Foster/Jai Winding(k), Steve Porcaro(sy), Eddie Watkins Jr.(b), James Gadson/Ed Greene/Harvey Mason(ds), Lenny Castro(per), Victor Feldman(vib), Jerry Hey(tp), Arnold McCuller(bv), Nick DeCaro(string ar), etc

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