TOTOのおすすめのアルバム
AORの良さを体現するバンドであるTOTO。そのデビュー以降の7枚のアルバムを紹介します。Jeff Porcaroが健在で、グラミー受賞作も生まれ、バンドが世界的な成功を収めていく過程の作品です。
AORを代表するバンド ~ TOTO
TOTOはAORの素晴らしさを体現するバンド。1970年代の後半にデビューし、今も活動を続ける息の長いバンドです。
プロのセッション・ミュージシャンが結成したバンドであるため、演奏技量が高く、そのサウンドはとても聴きごたえがあります。特に、グルーヴ感抜群で表情豊かなJeff PorcaroのドラムスやSteve Lukatherのエモーショナルなギターには定評があり、その演奏を目当てに聴く人も多いでしょう。
初めて聴く場合は、グラミー賞を受賞した『TOTO Ⅳ / 聖なる剣』や、デビュー作の『TOTO / 宇宙の騎士』がお薦め。作品数が多いので、代表曲を集めた2枚組の『オールタイム・ベスト 1977-2011~イン・ザ・ブリンク・オブ・アイ~』のようなベスト盤から入るのも良いでしょう。また、代表的なオリジナル・アルバム5作品をコンパクトにパッケージした『Original Album Classics: TOTO』もお薦めです。
以下に、TOTOを代表する7作品を厳選して紹介します。Jeff Porcaroが在籍し、グラミー受賞作も生まれ、バンドが最も輝いていた時期の7作品です。
Bobby Kimballが在籍した初期4作品
Bobby Kimballがリード・ヴォーカルを担当した初期の4作品です。4作目の『TOTO Ⅳ / 聖なる剣』はグラミー賞を受賞し、世界的に大ヒットしました。デビュー・アルバムの『TOTO / 宇宙の騎士』も魅力的な作品で、AORの名盤として評価されています。
『TOTO / 宇宙の騎士』(1978年, 米9位)
TOTOのデビュー・アルバム。メンバーは、David Paich(k), Jeff Porcaro(ds), David Hungate(b), Steve Lukather(g), Steve Porcaro(k), Bobby Kimball(vo)の6人で、HungateとKimballを除く4人は少年期からの友達でした。このアルバムは、ロック、ソウル、フュージョンの要素をセンス良く融合したAORの名盤として知られており、「Hold The Line」(米5位)のヒットも生まれ、セールス面でも成功を収めました。
- ●収録曲
- Child's Anthem / 子供の凱歌
- I'll Supply the Love / 愛する君に
- Georgy Porgy
- Manuela Run
- You Are the Flower
- Girl Goodbye
- Takin' It Back / ふりだしの恋
- Rockmaker
- Hold the Line
- Angela
『Hydra / ハイドラ』(1979年)
TOTOのセカンド・アルバム。ロック色が強く、収録曲の半分を占める「Hydra」「St. George and the Dragon」「All Us Boys」「White Sister」では重厚でハードな演奏が繰り広げられます。特にタイトル曲「Hydra」は格調高い曲で、美しい構成とドラマティックな演奏はプログレッシヴ・ロック的。Jeff Porcaroのドラムスにも凄みがあり、TOTOの曲の中でもかなりヘヴィーな演奏を聴くことができます。驚くことにヴォーカル以外は一発録りらしく、プロの演奏家としてのプライドを感じます。
- ●収録曲
- Hydra
- St. George and the Dragon
- 99
- Lorraine
- All Us Boys
- Mama
- White Sister
- A Secret Love
『Turn Back / ターン・バック』(1981年)
TOTOのサード・アルバム。スタジオ・ライヴのような臨場感溢れる演奏を楽しめる、お薦めのアルバムです。ロック色が強く、演奏がハードなところは前作の『Hydra』と同じですが、本作では演奏の統制や技巧よりも荒々しいライヴ感が印象的。また、構成美のある格調高い曲の多い前作に対し、本作の曲はストレートでシンプル。ラフで飾りのないフロント・カヴァーがハードでシンプルな音を表しています。
- ●収録曲
- Gift with a Golden Gun
- English Eyes
- Live for Today
- A Million Miles Away
- Goodbye Elenore
- I Think I Could Stand You Forever / スタンド・ユー・フォーエヴァー
- Turn Back
- If It's the Last Night / ラスト・ナイト
『TOTO Ⅳ / 聖なる剣』(1982年, 米4位)
TOTOの4作目。彼らが世界的な成功を手中にしたアルバムです。「Africa」が彼ら初となる全米1位のシングル・ヒットを記録したほか、「Rosanna」が2位、「I Won't Hold You Back」が10位となり、3曲のシングルがTop 10入りを果たします。また、1983年のグラミー賞では、最優秀アルバム賞を含む6部門を受賞しました。本作を最後にBobby Kimballはバンドを脱退します。
- ●収録曲
- Rosanna
- Make Believe
- I Won't Hold You Back / ホールド・ユー・バック
- Good for You
- It's a Feeling
- Afraid of Love
- Lovers in the Night
- We Made It
- Waiting for Your Love / ユア・ラヴ
- Africa
Bobby Kimball脱退後の3作品
Bobby Kimballの脱退後、5作目の『Isolation』ではFergie Frederiksenがリード・ヴォーカルを務め、再びロック色の強い作品になりました。続く『Fahrenheit』と『The Seventh One』では現在のTOTOのリード・シンガーであるJoseph Williamsがリード・ヴォーカルを担当し、『TOTO Ⅳ』のような洗練されたAOR作品になっています。
『Isolation / アイソレーション』(1984年)
元TrillionのFergie Frederiksenがリード・ヴォーカルを担当したアルバムで、その強力なハイトーン・ヴォイスを前面に出したロック色の強い作品です。「Stranger in Town」「Holyanna」「Angel Don't Cry」などのキャッチーなナンバーを収録しており、「Stranger in Town」はチャートの30位まで上昇。Fergie Frederiksenは本作のみでバンドを脱退しました。
- ●収録曲
- Carmen
- Lion
- Stranger in Town
- Angel Don't Cry
- How Does It Feel / 愛を抱きしめて
- Endless
- Isolation
- Mr. Friendly
- Change of Heart
- Holyanna
『Fahrenheit / ファーレンハイト』(1986年)
TOTOの6枚目。このアルバムから現リード・シンガーのJoseph Williamsが加入します。Josephは映画音楽の作曲家であるJohn Williamsの息子で、TOTOの主要メンバーとは地元の仲間どうしでした。「I'll Be over You」(米11位)がシングル・ヒットしたほか、「Without Your Love」「Till the End」などの人気曲を収録。「Don't Stop Me Now」のクールなトランペットはMiles Davisで、Jazz界の巨人が参加したことも話題となりました。
- ●収録曲
- Till the End
- We Can Make It Tonight / メイク・イット・トゥナイト
- Without Your Love
- Can't Stand It Any Longer
- I'll Be over You
- Fahrenheit
- Somewhere Tonight
- Could This Be Love
- Lea
- Don't Stop Me Now
『The Seventh One / ザ・セブンス・ワン~第7の剣~』(1988年)
TOTOの7作目で、前作に続いてJoseph Williamsがリード・ヴォーカルを担当します。チャートの22位まで上昇した「Pamela」のほか、「Stop Loving You」「Anna」などの人気曲を収録。
Joseph Williamsは本作を最後にバンドを離れますが、2010年に再びリード・シンガーに復帰します。
- ●収録曲
- Pamela
- You Got Me
- Anna
- Stop Loving You
- Mushanga
- Stay Away
- Straight for the Heart
- Only the Children
- A Thousand Years
- These Chains
- Home of the Brave
- The Seventh One
Joseph Williamsの脱退後は、Steve Lukatherがメイン・ヴォーカルを務めますが、1999年のアルバム『Mindfields』からBobby Kimballがリード・シンガーに復帰します。また、ドラムスのJeff Porcaroは1992年に他界し、その後任を実力派セッション・ドラマーのSimon Phillipsが務めました。このように、リード・シンガーとドラマーの交代はありますが、それ以外のメンバーはほぼ固定しており、バンドの結束の固さがTOTOの魅力です。なお、現在はリード・ヴォーカルをJoseph Williamsが、ドラマーをKeith Carlockが担当しています。
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