1973年のロック名盤

2020年4月25日

のちのアーティストに多大な影響を与え、ヒット・チャートに偉大な記録を残したロック名盤。このページでは、ロックの代表的なアルバムのうち、1973年に発売された15枚のアルバム(Pink Floyd, Queen, Stevie Wonder, Little Featなど)をショート・レビューと共に紹介します。また、関連する他のアルバムや、同じアーティストの他の作品については、参考アルバムとして、アーティスト名とタイトル、発売年をリストします(32作品)。

Pink Floyd / The Dark Side Of The Moon

アルバムのセレクションは、渋谷陽一氏の著書『ロック ベスト・アルバム・セレクション』(1988年, 新潮社)に準拠しました。バイヤーズのための決定版と言える名ガイド・ブック。私も愛読しました。

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1973年を代表する15枚のアルバム

Beck, Bogert & Appice / Beck, Bogert & Appice

●242: Beck, Bogert & Appice / Beck, Bogert & Appice (1973年)

BB&Aは、そのバンド名が示すとおり、Jeff Beck Groupを解散したJeff Beck(g)が、CactusのメンバーであるTim Bogert(b)、Carmine Appice(ds)と結成したトリオ編成のバンド。Jeff Beckの職人的なギターを聴かせるというよりは、ロック・バンドとしてライヴ感のある音作りに徹し、人気を得た。


<参考アルバム>

○243: Jeff Beck / Blow By Blow (1975年)

○244: Jeff Beck / Wired (1976年)

Pink Floyd / The Dark Side Of The Moon

●245: Pink Floyd / The Dark Side Of The Moon (1973年)

セールス面においても内容の素晴らしさにおいてもPink Floydを代表する一枚。このアルバムからRoger Watersが全曲の作詞を担当。自分の中にある “異質なもの" をテーマにした内省的なアルバムでありながら、優れた音楽と巧みな表現により全世界的に売れるほどの一般性を得た。


<参考アルバム>

○246: Pink Floyd / Wish You Were Here (1975年)

○247: Pink Floyd / The Wall (1979年)

Jethro Tull / A Passion Play

●248: Jethro Tull / A Passion Play (1973年)

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドであるJethro Tullの代表作。タイトルのPassion Playはキリストの受難劇のこと。A面、B面が「Passion Play」のPart1、Part2という組曲になっており、アルバム全体で演劇のような音世界を構築した意欲作。


<参考アルバム>

○249: Procol Harum / A Salty Dog (1969年)

○250: Ten Years After / Ssssh (1969年)

Yes / Yessongs

●251: Yes / Yessongs (1973年)

Yesの代表曲の殆どを集めた3枚組のライヴ・アルバム。高度な演奏技量とコンビネーションの良さが求められる複雑な曲をステージで完璧に再現した驚異的なライヴであり、ベスト盤としても楽しめる。また、ドラムスのメンバー交替期にあたり、Bill BrufordとAlan White両者の演奏を聴くことができる。


<参考アルバム>

○252: Yes / Close To The Edge (1972年)

○253: Yes / 90125 (1983年)

Wishbone Ash / Wishbone Four

●254: Wishbone Ash / Wishbone Four (1973年)

Ted Turner、Andy Powellという二人のギタリストを揃え、ツイン・リード・ギターに定評のあるブリティッシュ・ロックの名バンド、Wishbone Ashの4作目。この後にライヴ・アルバムの大作『Live Dates』をリリースし、Ted Turnerはバンドを一旦離れるが、1987年に復帰する。


<参考アルバム>

○255: Mahavishnu Orchestra / Birds Of Fire (1973年)

○256: Weather Report / Heavy Weather (1977年)

○257: Herbie Hancock / Headhunters (1973年)

Queen / Queen

●258: Queen / Queen (1973年)

Queenのデビュー・アルバム。Queenの最初の3作品はハード・ロックと言って良いだろうが、"攻撃的な演奏、金属的なサウンド、シャウト" といった従来のパターンから脱し、ドラマティックな演出や美しいコーラスといった多彩な要素を取り入れ、ハード・ロックの新しいスタイルを示した。


<参考アルバム>

○259: 10cc / The Original Soundtrack (1975年)

○260: Godley & Creme / Freeze Frame (1979年)

Godley & Creme / Freeze Frame

Paul Simon / There Goes Rhymin’ Simon

●261: Paul Simon / There Goes Rhymin’ Simon (1973年)

Paul Simonの3作目のソロ・アルバム。マッスル・ショールズのミュージシャンを起用し、「Take Me to the Mardi Gras / 夢のマルディ・グラ」やシングル・ヒットした「Kodachrome / 僕のコダクローム」など、アルバムの半分の曲をアラバマ州マッスル・ショールズのスタジオで録音した。


<参考アルバム>

○262: Paul Simon / Still Crazy After All These Years (1975年)

○263: Paul Simon / Graceland (1986年)

Stevie Wonder / Innervisions

●264: Stevie Wonder / Innervisions (1973年)

大ヒットした前作『Talking Book』に続くアルバム。本作からは「Living for the City」、「Higher Ground」の2曲がトップ10ヒットとなり、グラミー賞の最優秀アルバム部門と最優秀録音部門を受賞した。続く『Fulfillingness’ First Finale』、『Songs in the Key of Life』も大成功し、Stevie Wonderのキャリアの黄金期を形成した。


<参考アルバム>

○265: Stevie Wonder / Looking Back (1977年, 現在入手困難)

○266: Stevie Wonder / Songs In The Key Of Life (1976年)

Stevie Wonder / Looking Back

Sly & The Family Stone / Fresh

●267: Sly & The Family Stone / Fresh (1973年)

『Stand!』(1969年)、『There’s a Riot Goin’ On / 暴動』(1971年)といったファンク・ロックの傑作アルバムを次々とリリースしたSly & The Family Stoneの7作目。独特のクールネスを感じさせるファンキー・サウンドは、Princeなどの後のアーティストに大きな影響を与えた。


<参考アルバム>

○268: Sly & The Family Stone / Greatest Hits (1970年)

○269: Sly & The Family Stone / There’s A Riot Goin’ On (1971年)

Temptations / Masterpiece

●270: Temptations / Masterpiece (1973年)

「Papa Was a Rollin’ Stone」がヒットし、グラミー賞を受賞した前作『All Directions』に続き、Norman Whitfieldがプロデュースを担当。13分にもおよぶタイトル曲「Masterpiece」は、大部分がインストゥル・メンタル・パートという異色の大作。「My Girl」をヒットさせた60年代とは異なる、先鋭的なソウル・ミュージックを示した。


<参考アルバム>

○271: Temptations / 25th Anniversary (1986年)

○272: Four Tops / 19 Greatest Hits (1984年)

Carpenters / Now And Then

●273: Carpenters / Now And Then (1973年)

Carpentersの5枚目のアルバム。Carpentersを代表する名曲「Yesterday Once More」から始まるB面では、オールディーズのカヴァーをメドレー形式で聴かせる。曲間をDJでつなぐ演出も素晴らしい。A面の「Sing」、「Jambalaya」もシングル・ヒットした。


<参考アルバム>

○274: Captain & Tennille / A&M Gold Series (1986年)

○275: Eric Carmen / The Best Of Eric Carmen (1988年)

○276: Gilbert O’Sullivan / Alone Again (Best) (1986年、現在入手困難)

Gilbert O'Sullivan / Alone Again (Best)

Faces / Ooh La La

●277: Faces / Ooh La La (1973年)

Ronnie Lane(b)等、Small Facesのメンバーを母体に、Jeff Beck GroupからRod Stewart(vo)、Ron Wood(g)が加わって結成したバンドがFaces。4枚目のアルバムである本作は、スタジオ・アルバムとしては最終作。酔いどれた陽気なステージに人気があり、ジャケットの面白いデザインも、いかにもFacesらしい。


<参考アルバム>

○278: Small Faces / Ogden’s Nut Gone Flake (1968年)

○279: Move / The Best Of The Move (1974年、現在入手困難)

Move / The Best Of The Move

Rory Gallagher / Blueprint

●280: Rory Gallagher / Blueprint (1973年)

Rory Gallagherは、アイルランド出身の名ブルース・ロック・ギタリスト。トリオ編成のロック・バンドTasteでの活動後、1971年よりソロ活動をスタートし、本作は通算4枚目のソロ・アルバム。生感のある、熱いギター・プレイは痛快であり、熱心なファンを獲得した。


<参考アルバム>

○281: Nils Lofgren / Nils Lofgren (1975年)

○282: Joe Walsh / You Can’t Argue With A Sick Mind (1976年)

Little Feat / Dixie Chicken

●283: Little Feat / Dixie Chicken (1973年)

Little Featは、Frank ZappaのThe Mothersに在籍したLowell George等が結成したバンド。Lowell Georgeはスライド・ギターの名手としても知られる。本作『Dixie Chicken』は3枚目のアルバムで、彼らの代表作。アメリカ南部の土臭い感じのするロックを、ファンキーで洗練されたサウンドに仕上げている。


<参考アルバム>

○284: Little Feat / Sailin Shoes (1972年)

○285: Van Dyke Parks / Song Cycle (1968年)

Marvin Gaye / Let’s Get It On

●286: Marvin Gaye / Let’s Get It On (1973年)

1960年代を通じて、ソウル・シンガーのスターであったMarvin Gaye。70年代に入り、前作『What’s Goin’ On』では反戦や貧困、環境問題といったテーマを甘美で洗練されたサウンドで表現し、ソウル・ミュージックの新しいスタイルを示した。本作は前作から打って変わって、愛や性をテーマとした内容だが、圧倒的な支持を得てキャリアのピークとなった。


<参考アルバム>

○287: Marvin Gaye / What’s Goin’ On (1971年)

○288: Marvin Gaye / 15 Greatest Hits (1983年)

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