1974年のロック名盤
のちのアーティストに多大な影響を与え、ヒット・チャートに偉大な記録を残したロック名盤。このページでは、ロックの代表的なアルバムのうち、1974年に発売された8枚のアルバム(Wings, The Doobie Brothers, Brian Eno, Genesisなど)をショート・レビューと共に紹介します。また、関連する他のアルバムや、同じアーティストの他の作品については、参考アルバムとして、アーティスト名とタイトル、発売年をリストします(16作品)。
アルバムのセレクションは、渋谷陽一氏の著書『ロック ベスト・アルバム・セレクション』(1988年, 新潮社)に準拠しました。バイヤーズのための決定版と言える名ガイド・ブック。私も愛読しました。
- 1. 1974年を代表する8枚のアルバム
- 1.1. Paul McCartney & Wings / Band On The Run
- 1.2. Doobie Brothers / The Captain And Me
- 1.3. Brian Eno / Taking Tiger Mountain
- 1.4. Bob Dylan / Planet Waves
- 1.5. Ry Cooder / Paradise And Lunch
- 1.6. Woodstock: Music from the Original Soundtrack and More
- 1.7. Genesis / The Lamb Lies Down On Broadway
- 1.8. Animals featuring Eric Burdon / Remember The Liverpool Sound 3
1974年を代表する8枚のアルバム
Paul McCartney & Wings / Band On The Run
●289: Paul McCartney & Wings / Band On The Run (1974年)
The Beatlesでの華々しい評価と比べて、ソロ活動やWingsでの活動が十分な評価を得ていなかったPaul McCartney。そのPaulが、ようやく手応えのある評価を得たのが本作。「Band On The Run」や「Jet」など、優れたメロディ・メイカーとしての才能を遺憾なく発揮した快心作。
<参考アルバム>
○290: Paul McCartney / Tug Of War (1982年)
○291: Paul McCartney / All The Best (1987年)
Doobie Brothers / The Captain And Me
●292: Doobie Brothers / The Captain And Me (1974年)
Doobie Brothersの初期の代表作として挙げられることの多い3作目。ヒットした「Long Train Runnin’」や「China Grove」で聴くことのできるシャープで豪快なギターのカッティングは、Tom Johnstonの持ち味。後にSteely DanのMichael McDonaldが加入すると、ソウルフルで洗練されたAOR路線を打ち出し、新たな成功を収めた。
<参考アルバム>
○293: Doobie Brothers / Minute By Minute (1978年)
○294: Harpers Bizarre / Anything Goes (1967年)
Brian Eno / Taking Tiger Mountain
●295: Brian Eno / Taking Tiger Mountain (1974年)
Roxy Musicのキーボード奏者であったBrian Enoの2枚目のソロ・アルバム。Brian Enoは環境音楽の先駆者としても知られるが、環境音楽を手掛けるようになる前のアルバムである。キャッチーなメロディがありながら、空虚感やヨーロッパ特有のニヒリズムを漂わせる独特のロック。
<参考アルバム>
○296: Brian Eno / Another Green World (1975年)
○297: Mike Oldfield / Tubular Bells (1973年)
Bob Dylan / Planet Waves
●298: Bob Dylan / Planet Waves (1974年)
The Bandのメンバーとレコーディングしたアルバムであり、初のビルボード1位を獲得した。Dylanには珍しくラヴ・ソング集となっており、「Going, Going, Gone」、「Forever Young」、「Wedding Song」など佳曲揃い。ゆったりと歌われる、ゆとりのあるDylanを聴くことができる。
<参考アルバム>
○299: Bob Dylan / Blood On The Tracks (1975年)
○300: Bob Dylan / Biograph (1985年)
Ry Cooder / Paradise And Lunch
●301: Ry Cooder / Paradise And Lunch (1974年)
スライド・ギターの名人として知られるRy Cooderの4枚目のアルバム。テクス・メクス(テハノ・ミュージック)と呼ばれるアメリカ南部のメキシコ系音楽にRy Cooderが取り組むきっかけとなったアルバム。
<参考アルバム>
○302: Ry Cooder / Bop Till You Drop (1979年)
○303: David Lindley / El Rayo-X (1981年)
Woodstock: Music from the Original Soundtrack and More
●304: Woodstock: Music from the Original Soundtrack and More (1970年)
1969年に行われたWoodstock Festivalの記録映画『Woodstock』のサウンド・トラックとして、1970年に発売された3枚組のライヴ・アルバム。二度と実現できないほどの豪華ミュージシャンが参加した。中でもトリを務めたJimi Hendrixによる「アメリカ国家 / Star Spangled Banner」の迫真の演奏は有名。※渋谷陽一氏の『ロック ベスト・アルバム・セレクション』では1974年の頁で紹介されている。
<参考アルバム>
○305: No Nukes (1980年)
○306: The Band / The Last Waltz (1978年)
Genesis / The Lamb Lies Down On Broadway
●307: Genesis / The Lamb Lies Down On Broadway (1974年)
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの中で、Pink FloydやKing Crimson、Yes等と共に人気のあったGenesisの代表作。初期のバンドをリードしたPeter Gabriel(vo)は、本作を最後にバンドを脱退。2枚組の大作ながらキャッチーな曲が多く、聴きやすいアルバム。
<参考アルバム>
○308: Genesis / And Then There Were Three (1978年)
○309: Phil Collins / Hello, I Must Be Going! (1982年)
Animals featuring Eric Burdon / Remember The Liverpool Sound 3
●310: Animals featuring Eric Burdon / Remember The Liverpool Sound 3 (1974年)
60年代のイギリスで大活躍したThe Animalsのコンピレーション・アルバム。Alan Priceのブルース・フィーリング溢れるオルガンや、Eric Burdonのワイルドな歌いっぷりで人気を博し、カヴァー曲を巧みにアレンジして多くのヒット曲を出した。特に、Bob Dylanの「The House Of The Rising Sun / 朝日のあたる家」のロックによるアレンジは秀逸。
<参考アルバム>
○311: Manfred Mann / Remember The Liverpool Sound 6 (1974年、現在入手困難)
○312: The Zombies / She’s Not There (1965年)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません