The Manhattan Transfer / Extensions (1979年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、The Manhattan Transferの1979年のアルバム『Extensions』の紹介です。

The Manhattan Transfer / Extensions (1979年) フロント・カヴァー

The Manhattan Transfer(マントラ)は男女4人のジャズ・コーラス・グループ。1969年にグループを結成し、メンバー交代はあるものの現在も男女2人ずつの構成で活動を続けている。

本作は彼らの5枚目のスタジオ・アルバムで、この時のメンバーは、男性がAlan PaulとTim Hauser、女性がCheryl BentyneとJanis Siegel。Cheryl Bentyneは、本作から加わったメンバーである。

オープニングの「Birdland」は、Weather Reportの77年の名作『Heavy Weather』の収録曲。ジャズの原曲に歌詞をつけて歌う「Vocalese」というスタイルであり、Vocaleseの草分け的な作詞家のJon Hendricksが作詞を担当した。マントラの高度なボーカル技術が存分に発揮されたこの曲は、81年のグラミー賞において「Best Jazz Fusion Performance」を受賞。Janis Siegelも「Best Vocal Arrangement for Two or More Voices」を受賞した。

「Nothin' You Can Do About It / 貴方には、何も出来ない」は、David Foster, Jay Graydon, Steve Kipnerという豪華な顔ぶれが共作したAORの名曲。FosterとGraydonによるAORユニットのAirplayも、80年のアルバム『Airplay / ロマンティック』でこの曲をセルフ・カヴァーしている。AirplayではTommy Funderburkが高音のロック・ヴォーカルで魅了するが、マントラの華やかなジャズ・ヴォーカルも良い。

「Twilight Zone/Twilight Tone」は、テレビ番組『The Twilight Zone』のテーマ曲をアレンジしたキャッチーなナンバー。Billboard Hot 100チャートの30位、Discoチャートでは12位を記録した。Jeff PorcaroのセクシーなドラムスとDavid Hungateのノリの良いベースをバックに、Jay Graydonの流麗なギター・ソロが流れるという、AORやTOTO好きには垂涎の曲。目立たないが、Steve Lukatherがリズム・ギターを弾いている。

ラストの「Foreign Affair / 異国の出来事」はTom Waitsの77年のアルバム『Foreign Affair』のタイトル曲。これを無伴奏のアカペラで歌い、しっとりとした余韻を残す。心憎い演出だ。

本作のプロデュースは、斬新な発想と緻密で繊細なプロデュース・ワークで知られるJay Graydonが担当した。フュージョン/ジャズのアルバムとして一流であるばかりでなく、AORのアルバムとしても、金澤寿和さんの著書『AOR Light Mellow』で紹介されるクオリティ。

なお本作は、Vocaleseの先駆者であり、79年に他界したジャズ・シンガーのEddie Jeffersonに捧げられた。EddieはマントラのTim Hauserの親友であったため、バック・カヴァーには "This album is dedicated to Eddie Jefferson (1919-1979) - The world's greatest jazz singer." と、追悼の意が記されている。

●収録曲
  1. Birdland - 6:00
  2. Wacky Dust - 3:10
  3. Nothin' You Can Do About It / 貴方には、何も出来ない - 4:25
  4. Coo Coo-U - 2:13
  5. Body and Soul - 4:26
  6. Twilight Zone/Twilight Tone - 6:05
  7. Trickle Trickle - 2:19
  8. Shaker Song - 4:30
  9. Foreign Affair / 異国の出来事 - 3:54

◆プロデュース: Jay Graydon(g, ar)

◆参加ミュージシャン: Steve Lukather/Dean Parks(g), David Foster/Michael Omartian/Greg Mathieson(k, ar), Jai Winding(k), Michael Boddicker/Ian Underwood(sy), David Hungate/Abraham Laboriel(b), Jeff Porcaro/Ralph Humphrey/Alex Acuna(ds), Paulinho Da Costa(per), Richie Cole(sax), etc

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