Eagles / The Long Run (1979年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Eaglesの1979年のアルバム『The Long Run』の紹介です。

Eagles / The Long Run (1979年) フロント・カヴァー

70年代のウェストコースト・ロックを力強く牽引した偉大なグループであるEagles。本作はEaglesの6枚目のスタジオ・アルバムで、1980年に活動を停止する前の最後のスタジオ・アルバムである。

大ヒットした76年の前作『Hotel California』に続いて、Bill Szymczyk(ビル・シムジク)が本作のプロデュースを担当。一方、前作を最後にベーシストのRandy Meisnerがバンドを脱退し、元PocoのTimothy B. Schmitがその後任になっている。

本作もセールス面では大成功し、アルバムは前作に続いてBillboard 200チャートの1位を獲得。シングルも、「Heartache Tonight」がBillboard Hot 100チャートの1位となった他、「The Long Run」と「I Can't Tell You Why / 言いだせなくて」は共に8位をマーク。1980年のグラミー賞では、「Heartache Tonight」が "Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocal" に輝き、前作に続くグラミー受賞となった。

活動停止前のラスト・アルバムであることや、黒のシックなジャケットの印象もあって、このアルバムには暗く重いイメージがあるが、実際の音はそうでもない。「King of Hollywood」や「Those Shoes」、「Teenage Jail」などは重々しいサウンドだが、それ以外はリラックスした穏やかな曲が揃っている。

シングル・ヒットした3曲の中では、「I Can't Tell You Why / 言い出せなくて」が素晴らしい。しみじみと切なさを伝える名バラードで、Timothy B. Schmitのファルセットの美しさとHenley&Freyの男二人によるハーモニーの優しさがその切なさを際立たせている。咽び泣くようなギター・ソロを弾いているのはGlenn Freyで、これも記憶に残る名演となった。

「In The City」はJoe Walshらしい晴れ晴れとした開放感が良い。この曲は、同年の映画『The Warriors』のサウンドトラック用に書かれたもの。この曲以外は全てHenley&Freyのコンビの名前が作者にクレジットされているが、「言い出せなくて」のTimothy B. Schmitや、「Heartache Tonight」「Teenage Jail」「The Sad Café」のJ.D. Southerなど、多くは共作となっている。

ラストの「The Sad Cafe」は、"もう一人のイーグルス" と言われるJ.D. Southerが関わった曲。その穏やかなメロディにはタイトルのような悲しみを感じさせるものはなく、美しい "たそがれ感" だけがある。David Sanbornの情感たっぷりのSaxソロも素晴らしい。彼らが世紀の名作『Hotel California』の先に、豊かな安らぎの地を見いだしたかのような癒しの曲だ。

●収録曲
  1. The Long Run - 3:42
  2. I Can't Tell You Why / 言いだせなくて - 4:56
  3. In The City - 3:46
  4. The Disco Strangler - 2:46
  5. King Of Hollywood / ハリウッドよ永遠に - 6:27
  6. Heartache Tonight - 4:27
  7. Those Shoes - 4:57
  8. Teenage Jail - 3:44
  9. The Greeks Don't Want No Freaks / グリークスはフリークスお断り - 2:21
  10. The Sad Cafe - 5:35

◆プロデュース: Bill Szymczyk

◆参加ミュージシャン: Don Henley(vo, ds), Glenn Frey(vo, g, k), Joe Walsh(vo, g), Timothy B. Schmit(vo, b), Don Felder(g, k)
with David Sanborn(sax), Jimmy Buffett(bv)

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