Alan Sorrenti / L.A&N.Y. (1979年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Alan Sorrentiの1979年のアルバム『L.A.&N.Y.』の紹介です。
Alan Sorrentiはイタリアのベテラン・シンガー。デビュー後の3枚のアルバムはプログレ路線だったようだが、この『L.A.&N.Y.』では、タイトルどおりの洗練されたシティ・ポップスを聴くことができる。Sorrentiがポップス路線に転向したのは、サンフランシスコ録音の4作目『Sienteme, it's time to land』から。続く『Figli delle Stelle』ではLA録音を行い、David FosterとJay Graydonを招いてAORのアルバムを制作している。
本作はLA録音の第二弾となる6作目。L.A.サイドの4曲とN.Y.サイドの3曲に分かれており、L.A.サイドはJay Graydonによるプロデュースで、前作のAOR路線を踏襲。一方のN.Y.サイドはLance Quinn&Brad Bakerのプロデュースで、Chicのようなディスコ調のナンバーを収録している。
L.A.サイドの曲は全てAlan Sorrentiのオリジナルで、歌詞はイタリア語。Jay Graydonが2曲(2, 4)、Steve Kipnerが2曲(3, 4)を共作し、LAのスタジオ・ミュージシャンが演奏している。N.Y.サイドの曲は全て他作で、歌詞は英語。Will Lee(b)やHiram Bullock(g)、Paul Griffin(k)、Ronnie Cuber(sax)など、演奏にはNYのジャズ・プレイヤーが参加した。
2曲目の「Per Sempre Tu」は爽快なナンバーだ。イントロからJay Graydonのギターが華やかに鳴り響き、エンディングでは自由奔放でアイデア豊富なソロが繰り出される。この見事なソロは、Graydonの3大ギター・ソロの1つとされている。なお、2年後には、曲のヴォーカルだけを英語に差し替えたバージョンが「Beside You」というタイトルで再リリースされた。
Jay Graydonのギターが華やかといえば、次の「Dancing In My Heart」もそう。「Per Sempre Tu」のような流麗なソロはないが、Graydonのギターの音がとても印象に残る。
N.Y.サイドでは、スタイリッシュな「Take A Chance」が素晴らしい。しなやかでメロウなグルーヴが心地よく、まるでChicの曲を聴いているみたい。
本作からは、1曲目の「Tu Sei L'unica Donna Per Me」がイタリアで大ヒットし、12週連続でチャートの1位に輝いた。アルバムも4ヵ月にわたって1位の座を守っている。
79年はJay Graydonのプロデュース活動の元年。本作のほか、Steve Kipnerの『Knock The Walls Down』やMarc Jordanの『Blue Desert』、Manhattan Transferの『Extensions』などのプロデュース作はどれも名作だ。3大ギター・ソロの残り2つは、このうちのSteve KipnerとMarc Jordanのアルバムで聴くことができる。
- ●収録曲
- Tu Sei L'unica Donna Per Me - 3:48
- Per Sempre Tu - 4:38
- Dancing In My Heart - 3:01
- Provaci - 3:17
- Look Out - 4:55
- Take A Chance - 5:57
- Love Fever - 7:02
◆プロデュース: Jay Graydon(g), Lance Quinn, Brad Baker
◆参加ミュージシャン: Alan Sorrenti(vo), Hiram Bullock(g), Jai Winding/Michael Omartian/Paul Griffin(k), Mike Porcaro/Will Lee(b), Ed Greene(ds), Victor Feldman(per), Ronnie Cuber(sax), Jerry Hey(tp), Bill Champlin/Bobby Kimball/Steve Kipner(bv), etc
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