Chris Montan / Any Minute Now (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Chris Montanの1980年のアルバム『Any Minute Now / トワイライト・アワーズ』の紹介です。
Chris Montanはアメリカのシンガー・ソングライター。1980年にアルバム・デビューしているが、シンガー・ソングライターとしての活動期間はとても短く、90年代以降は米ウォルト・ディズニーの数々のアニメーション映画の音楽プロデューサーとして活躍している。
本作『Any Minute Now』は、その唯一のアルバム。全曲がChris Montanのオリジナルだが、「Let's Pick It Up (Where We Left Off)」についてはPiecesのGeoffrey Leibとの共作だ。ほとんどをミディアム~スロー・テンポの優しいナンバーで占めており、聴いた味わいはJames Taylorの最新作『Before This World』にとても似ている。アレンジはシンプルで、サウンドは一音一音を丁寧に磨いたように美しい。
優しいエレピとハーモニカの響きで始まる「Is This The Way Of Love」はLauren Woodとのデュエット曲。柔らかいサンバのリズムはBilly Joelの「素顔のままで」を思わせる。愛らしくロマンティックなナンバーだ。
タイトル曲「Any Minute Now」では、その優しいメロディと演奏に癒される。Chris Montanの穏やかな歌声や歌い方は、まるでJames Taylorのよう。続く「Empty Bed Blues」や「Let's Pick It Up」も、James Taylorが歌っているみたいに聴こえてくる。
「This Could Be The Night」は切ないメロディをコンテンポラリーに仕上げたナンバー。サビでは、Brock WalshやArno Lucas等、バック・コーラス陣の情熱的なリフレインが曲を盛り上げ、何とも切ない。
「All Night With Me」も、素朴で温もりのあるナンバー。Laura Braniganが82年のデビュー・アルバム『Branigan』の1曲目でこれをカバーしている。
ラストの「Everyday I'm Gonna Love You More」では、その一途でけなげなタイトルに感動してしまう。この曲のバック・ヴォーカルはKarla BonoffとAndrew Gold。二人は60年代の終わりにBryndleというLAのフォーク・ロック・グループのメンバーだった。
優しすぎて切ないけれど、穏やかな安らぎを得られる素晴らしいアルバム。ちょっとナイーヴな人柄もうかがえる。99年に日本のヴィヴィド・サウンドから初CD化されたが、それっきりなのが残念だ。
- ●収録曲
- Is This The Way Of Love - 3:25
- Any Minute Now - 3:50
- Empty Bed Blues - 4:14
- Let's Pick It Up (Where We Left Off) - 3:16
- This Could Be The Night - 4:38
- Doesn't Mean Much To Me - 3:33
- All Night With Me - 3:32
- Ann - 3:31
- Intentions - 4:39
- Everyday I'm Gonna Love You More - 2:33
◆プロデュース: Evan Archerd
◆参加ミュージシャン: Chris Montan(vo, k), Mark Goldenberg/Amos Garrett/Dean Parks/Thom Rottella(g), Geoffrey Leib(g, k), Bill Payne/Bill Elliott(k), Rick Chudacoff/Max Bennett/Brad Palmer(b), Peter Bunetta(ds), Phil Kenzie(sax), Norton Buffalo(harmonica), Lauren Wood(vo), Karla Bonoff/Andrew Gold/Brock Walsh/Harry Stinson/Arno Lucas(bv), etc
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません