Steve Gibb / Let My Song (1979年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Steve Gibbの1979年のアルバム『Let My Song / モノクローム』の紹介です。
Steve Gibbはカントリー・ポップ界のシンガー・ソングライター。この『Let My Song』は唯一のアルバムで、日本では、田中康夫氏の小説『なんとなく、クリスタル』に、3曲目の「Tell Me That You Love Me」が取り上げられたことで知られている。
収録曲は全てSteveのオリジナルで、そのうちの4曲(2, 3, 6, 9)はプロデューサーのBuzz Casonとの共作。Buzzと共作した曲にはビートの効いているものもあるが、それ以外は、ピアノを弾きながらしっとりと歌うタイプの詩情豊かなバラードになっている。
1曲目の「She Believes In Me」は、Barry Manilowが歌ったらとっても似合いそうな優しいバラード。実際は、カントリーの大御所、Kenny Rogersの78年のアルバム『Gambler』で取り上げられ、そのシングルは翌年にBillboard Hot 100チャートの5位となるヒットを記録した。
この曲のほかにも、Steveのバラードは多くのシンガーに歌われている。日本でSteveが知られるきっかけになった「Tell Me That You Love Me」については、盲目の女性カントリー・シンガーのTerri Gibbsが81年のアルバム『Somebody's Knockin'』でカヴァー。
5曲目の「If I Ever Had To Say Goodbye To You」については、女性ポップ・シンガーのHelen Reddyがアルバム『We'll Sing In The Sunshine』(78年)で歌ったほか、イギリスの俳優のDennis Watermanも、アルバム『Waterman』(77年)で歌っている。
7曲目の「Look What You've Done」は、女性カントリー・シンガーのDonna Fargoのアルバム『Fargo』(80年)や、Paul Ankaのアルバム『Both Sides Of Love』(81年)で取り上げられた。
どのバラードも、メロディが優しくて温かい。Steveはけっして歌の達者なミュージシャンではないが、その丁寧で誠実な歌い方はとても好感をもてる。モノクロのジャケットに写る真っ白なピアノのように、無添加・無着色な感じの(?)バラードを賞味できる。
- ●収録曲
- She Believes In Me - 3:58
- What Could You Know (About Love) - 3:44
- Tell Me That You Love Me - 3:23
- Whiskey Dreams & Nursery Rhymes - 3:29
- If I Ever Had To Say Goodbye To You - 2:58
- Don't Blame It On Love - 3:43
- Look What You've Done - 3:23
- Just An Ordinary Man - 3:35
- Rock Me Off - 3:55
- Me & You - 3:59
◆プロデュース: Buzz Cason(k, bv)
◆参加ミュージシャン: Steve Gibb(vo, k), Steve Gibson/Jon Goin(g), Randy Goodrum/Mike Lawler/Bobby Ogdin(k), Jack Williams/Joe Osborne(b), Jerry Carrigan(ds), etc
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