Roger Voudouris / Radio Dream (1979年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Roger Voudourisの1979年のアルバム『Radio Dream』の紹介です。

Roger Voudouris / Radio Dream (1979年) フロント・カヴァー

Roger Voudourisはカリフォルニア生まれのシンガー・ソングライター。70年代中盤にVoudouris & Kahneというユニットでアルバムを2枚残したのちにソロ活動をスタートし、1978年から81年にかけて、年に1枚ずつのペースで4枚のソロ・アルバムを発表している。この『Radio Dream』はセカンド・アルバム。

最初の2枚のアルバムをプロデュースしたのはMichael Omartian。曲作りにも深く関わっており、本作では9曲のうちの7曲(1-4, 5-7, 9)をVoudourisと共作している。また、プレイヤーとしても、キーボード、パーカッション、バック・ヴォーカルを担当した。

本作はどこかノスタルジックな香りのする、甘く爽やかなアルバム。また、Jay Graydon(g)やBrecker兄弟(tp, sax)などのゲスト・プレイヤーはいるものの、R.Voudouris(vo, g), Leland Sklar(b), David Kemper(ds, per), M.Omartian(k, per, bv)の4人によるバンドの音になっているのもいい。何よりも、「Radio Dream」というタイトルが素敵。

このアルバムからは、爽やかなポップ・チューンの「Get Used to It / 僕の想い入れ」がシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの21位をマークし、Voudourisのキャリア一番のヒットになった。Voudourisの歌声には野性味とソウル・フィーリングがあり、表情も豊か。この曲では、力いっぱいに歌う感じがとてもフレッシュだ。

タイトル曲の「Radio Dream」は、ミディアム・テンポの最高にメロウなナンバー。夢見心地の穏やかなメロディと、Michael Breckerの浮遊感のあるソプラノ・サックスが素晴らしく、Voudourisの歌声には程よい温もりがあって、やけに優しい。

Jay Graydonは「Just What It Takes」のリズム・ギターと、「Does Our Love」「Anything from Anyone」のアコースティック・ギターを弾いているが、裏方に徹していて、クレジットを見ないと気付かない。Voudourisのギターの腕前もなかなかのもので、「The Next Time Around」ではアコギを爪弾きながらしっとりと歌っている。Voudourisのソウルフルな声は、ポップで軽快な曲よりも、こうしたバラードの方が似合うかも。

81年の4作目『On the Heels of Love / もうひとつのラヴ・ソング』は、本作を更にスタイリッシュにした感じ。全曲でJeff Porcaroのドラムスを聴くことができるところもポイントが高く、おすすめ。

●収録曲
  1. Get Used to It / 僕の想い入れ - 3:00
  2. Just What It Takes - 3:26
  3. Does Our Love (Depend on the Night) / 忘れじの夜 - 3:11
  4. We Can't Stay Like This Forever / 想い出のアルバム - 3:11
  5. Radio Dream - 3:37
  6. Anything from Anyone / あなただけを - 3:45
  7. We Only Dance 'Cause We Have To / ダンスしようよ - 4:02
  8. The Next Time Around - 3:18
  9. Reprise - 2:25

◆プロデュース: Michael Omartian(k, per, bv)

◆参加ミュージシャン: Roger Voudouris(vo, g), Leland Sklar(b), David Kemper(ds, per)
with Jay Graydon(g), Randy Brecker(tp), Michael Brecker(sax), Stormie Omartian/Myrna Matthews/Marti McCall(bv)

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