Bill Champlin / Runaway (1981年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Bill Champlinの1981年のアルバム『Runaway』の紹介です。
Bill Champlinはアメリカのベテラン・シンガー。60年代から音楽活動をしており、サンフランシスコを拠点とするロック・グループ、Sons Of Champlin(65~77年)を率いての活動や、81年に加入したChicagoでの活動(キーボード、ギター、ヴォーカルを担当し、2009年に脱退)が知られている。また、Chicagoに加入する前は、セッション・シンガーやソングライターとして活躍していた。
ソロ・アルバムに関しては、これまでにライヴ盤も含めて8枚ほどがあり、この『Runaway』は2作目。Billはこの年にChicagoに加入するが、本作はその前に制作された。
プロデュースを担当したのは、78年のソロ・デビュー作『独身貴族』(78年)と同じく、David Foster。なお、Kenny Logginsが曲作りに関わった「Take It Uptown」は、FosterとLogginsの共同プロデュースである。
Tom Kelly等の書いた「Gotta Get Back to Love」を除く全曲をBillが書いており、その多くは共作。Steve Lukather(1)、D.Foster(4, 5, 11)、K.Loggins(6)、Ray Kennedy(4)、Richard Page(7)等が共作者になっている。ロック、バラード、ファンク、R&Bと、曲は多彩だが、全体としてはR&Bに根ざしたブルー・アイド・ソウルといった感じ。
タイトル曲の「Runaway」は爽やかなロック・ナンバー。Steve Lukatherとの共作というのも珍しい。続く「One Way Ticket」もそうだが、Steve Lukatherはアルバムの随所で歯切れのよいギターを弾いている。
「Sara」や「Tonight Tonight」は、Billの得意とするバラード。「Tonight Tonight」は、Ray Kennedyの80年のアルバム『ロンリー・ガイ』に収録されている「My Everlasting Love」をBillがアレンジしたもので、原曲はRayとFosterの共作。Rayが渾身を込めて歌う原曲と比べると、Billのバージョンはやや上品な仕上がり。どちらも素敵だが、原曲の方が情熱的かな…
Sister Sledgeの83年のアルバム『Bet Cha Say That to All the Girls』(George Dukeプロデュース)でカヴァーされたエレガントなメロウ・チューンの「Gotta Get Back to Love」や、Jeff Porcaroらしいシャープなドラムスを聴くことのできる「Without You」、ホーン・セクションを豪快に使ったファンキーな「Satisfaction」(Chicagoのツアーでも演奏されたらしい)なども聴きどころ。
バック・ヴォーカルとして参加したTamara MatoesianはBillの恋人。アルバムのSpecial thanksの最後も、"To Tamara for all the love." と、熱い。二人は翌82年に結婚し、夫婦揃って今も音楽活動をしている。
- ●収録曲
- Runaway - 3:58
- One Way Ticket / 片道切符 - 3:03
- Sara - 3:15
- Tonight Tonight - 3:47
- Runaway Reprise - 0:47
- Take It Uptown / アップタウン - 4:24
- Satisfaction - 3:42
- Stop Knockin' on My Door - 4:16
- Gotta Get Back to Love / この胸にもう一度 - 3:30
- Without You - 4:05
- The Fool Is All Alone / ひとりぼっちの悲しみ - 4:29
◆プロデュース: David Foster(ar, k, bv), Kenny Loggins(bv)
◆参加ミュージシャン: Steve Lukather/Jay Graydon(g), Abraham Laboriel/John Pierce/Lee Sklar(b), John Robinson/Jeff Porcaro/Ed Greene/Larry Tolbert(ds), Richard Page/Tom Kelly(bv), Tom Scott(sax), etc
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