Lemuria / Lemuria (1978年) – アルバム・レビュー

2020年6月28日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Lemuriaの1978年のアルバム『Lemuria』の紹介です。

Lemuria / Lemuria (1978年) フロント・カヴァー

Lemuriaは1978年にハワイで結成されたグループ。中心メンバーのKirk Thompson(k)は、ハワイを代表するグループであるKalapanaに在籍していた。また、Curtis Mayfieldのバンド・メンバーなどを経験したベテラン・パーカッション奏者のHenry Gibsonもメンバーになっている。他に、"The Ladies Of Lemuria" という4人の女性ヴォーカルと、"The Lemuria Horns" という7人編成のホーン・セクションを擁しており、なかなかの大所帯だ。

この『Lemuria』は彼らが残した唯一のアルバム。そのサウンドは、ソウル、ファンク、ジャズなどの要素をミックスしたもので、ナチュラルでピースフル。ハワイに行ったことはないものの、ハワイ産を感じさせる心地よさがある。プロデュースを手がけたのも、Kirk ThompsonとHenry Gibsonの二人。曲作りに関しては、Kirkが8曲(1-4, 6-9)を、ギタリストのJohn Rapozaが1曲(5)を書いている。

Johnの書いた「Get That Happy Feeling」はインスト曲だが、残りはヴォーカル曲。曲によってリード・ヴォーカルが変わり、"The Ladies Of Lemuria" のうちのStacieが3曲(1, 4, 6)、Starが3曲(2, 3, 7), Azureが1曲(8)を分担。ラストの「The Lady And The Dude」では、StacieとベーシストのGary Sprewelがデュエットしている。

綺麗なピアノのイントロで始まる「Hunk Of Heaven」は、一転してファンキーでノリのいい、ラテン系の曲に変わる。切れのあるホーンや爽やかな女性ヴォーカルは、同じハワイ出身のSeawindみたい。

「All I've Got To Give」はメロウでグルーヴィな曲。生楽器の音が優しくて気持ちいい。「Dreams」「Mister U (Universe)」「Moonlight Affair」「The Making Of You」も、そのタイトルから想像できるように、穏やかでナチュラルな曲。アルバムの多くをメロウな曲が占めている。

インスト曲の「Get The Happy Feeling」も、ギターのテクニックを披露するというよりは、全体の柔らかいアンサンブルで魅了する曲。どの曲もそうだが、Henry Gibsonのパーカッションの音がサウンドの軸になっており、柔らかいグルーヴを生み出している。

ジャケットの美しいこと。豪快に波しぶきを上げる海も、空から降り注ぐ黄金の陽光も神々しい。天国なのか、地上の楽園なのか。ちなみに、レムリアとは、かつて存在していたとされる伝説上の大陸らしい。

●収録曲
  1. Hunk Of Heaven - 4:00
  2. All I've Got To Give - 5:12
  3. Dreams - 3:57
  4. Mister U (Universe) - 7:10
  5. Get That Happy Feeling - 4:07
  6. Moonlight Affair - 5:10
  7. Mystery Love - 5:12
  8. The Making Of You - 3:50
  9. The Lady And The Dude - 3:35

◆プロデュース: Kirk Thompson(ar), Master Henry Gibson(per)

◆参加ミュージシャン: Star Williams/Azure McCall/Merri Lake/Stacie Johnson(vo), John Rapoza(g), Kit Ebersbach(k), Gary Sprewel(b, vo), Bert DeJesus(ds), Creed Fernandez(per), Mark Stone/Bill Popaka/Chet Christopher/Gordon Uchima(sax), Ira Nepus(tb), Bill Simmons/Mike Morita(tp), etc

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