Barry Manilow / Summer Of ’78 (1996年) – アルバム・レビュー

2020年6月9日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Barry Manilowの1996年のアルバム『Summer Of '78』の紹介です。

Barry Manilow / Summer Of '78 (1996年) フロント・カヴァー

Barry ManilowはNY生まれのシンガー・ソングライター。Frank Sinatraの後継者と言われた天与のテナー・ヴォイスとジュリアード音楽院卒の作曲能力を生かして、多くのヒット曲とヒット・アルバムを生んでいる。

90年代以降のBarryは、ソングライターとしてオリジナルの曲を作るよりもシンガーとして他作の曲を歌うことに注力していて、96年に発表されたこの『Summer Of '78』もポピュラー・ヒット・ソングの素晴らしいカヴァー曲集になっている。

アルバムのプロデュースはMichael Omartianとの共同で実施された。Michael Omartianとの仕事はこの1枚のみ。70年代のヒット曲を中心に、バラード系の爽やかな曲が選ばれており、Barry Manilowの選曲の妙を味わうことができる。なお、1曲目の「Summer of '78」だけは書き下ろしで、Barryが作曲を、長年の相棒のBruce Sussmanが作詞を手がけた。

各曲を最初に歌ったアーティストとその収録アルバムは次のとおり。



これらはBarry Manilowのフェイバリット・ソングとのこと。78年の夏にBarryは35歳なので、その年齢でのフェイバリットということで、落ち着いた選曲になっている。全米1位になった大ヒット曲もあるが、どちらかというと控え目な印象。個人的にフィーリングの合う曲や、78年夏の特別な記憶と結びついている曲を選んだのだろう。

ちなみに、Albert Hammondの「The Air That I Breathe」に関しては、74年にThe Holliesが歌って全米6位のヒットになっているので、Barryが78年の夏に聴いていたのはThe Holliesのバージョンかも知れない。

この中から、Barry Manilowの歌で聴くとしみじみといいなぁ…と思える3曲をピック・アップ。

まずは、Paul Davisを代表するバラードの名品「I Go Crazy」。全米チャートの7位になるヒットを記録し、日本では81年の映画『なんとなく、クリスタル』(原作:田中康夫)の主題曲になっている。原曲ではキーボードの美しいフレーズが印象的に使われているが、このバージョンにはない。代わりに、美しいメロディの余韻がその隙間を見事に埋めている。

2曲目は、The Associationの67年のヒット曲「Never My Love」。曲を書いたのはThe Addrisi Brothersで、Addrisi兄弟も72年のデビュー・アルバム『We've Got to Get It On Again』で歌ったほか、77年にシングル・カットもしている(全米チャートの80位に到達)。Barry Manilowの記憶に残っているのは、Addrisi兄弟のバージョンだろうか。

アルバムのラストに選ばれたのは、Firefallの77年の名曲「Just Remember I Love You」。Firefallのリード・シンガーであるRick Robertsの書いた渋い曲で、"辛くなったら私が愛していることを思い出して。そうすれば大丈夫。" という温かい詞の世界は、Carole Kingの「You've Got A Friend」にも似ている。爽やかなウェスト・コースト・サウンドの原曲をバラード調にアレンジしており、なかなか感動的。

78年の夏に自分はまだ洋楽を聴いていなかったが、数年後にはラジオから流れる洋楽ヒットに夢中になった。その中にはこのアルバムに収録されている曲も何曲かある。まるでCarpentersの「Yesterday Once More」のような甘酸っぱい気分がよみがえる、いいアルバムだ。

●収録曲
  1. Summer of '78 - 1:48
  2. Interlude: Love's Theme / 愛のテーマ - 0:25
  3. Reminiscing / 追憶の甘い日々 - 3:45
  4. I Go Crazy - 4:09
  5. When I Need You / はるかなる想い - 4:02
  6. The Air That I Breathe / 安らぎの世界へ - 3:43
  7. Bluer Than Blue - 2:58
  8. We've Got Tonite / 愛・ひととき - 4:39
  9. I'd Really Love to See You Tonight / 秋風の恋 - 3:18
  10. Sometimes When We Touch - 4:11
  11. Never My Love / かなわぬ恋 - 2:58
  12. Just Remember I Love You / 切ない想い - 3:03

◆プロデュース: Barry Manilow(vo, k, sy), Michael Omartian(k, sy)

◆参加ミュージシャン: Jimmie Lee Sloas(b), Paul Leim(ds), Dann Huff(g), Biff Watson(ag), Eric Darken(per), Marty McCall(bv), etc

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