Don Henley / Building the Perfect Beast (1984年) – アルバム・レビュー

2023年5月6日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Don Henleyの1984年のアルバム『Building the Perfect Beast』の紹介です。

Don Henley / Building the Perfect Beast (1984年) フロント・カヴァー

セピア色のジャケットが素敵なこのアルバムは、Eaglesを1982年に解散したDon Henleyのセカンド・アルバム。Eaglesが活動を停止したのは1980年だが、メンバーは休むことなくそれぞれのソロ活動を始めている。

Don Henleyは翌81年にStevie Nicksのアルバム『Bella Donna』に参加し、Nicksとデュエットした「Leather and Lace」が全米チャートの6位をマーク。

82年には自身初のソロ・アルバムとなる『I Can't Stand Still』を発表し、そこからは「Dirty Laundry」が全米3位を記録するヒットになった。ちなみに、EaglesのGlenn Freyも同じ年に最初のソロ・アルバム『No Fun Aloud』を発表し、「The One You Love」がシングル・ヒットしている(全米15位)。

ソロ2作目となる『Building the Perfect Beast』は、前作とほぼ同じ顔ぶれで制作された。プロデュースを担当したのは、Don Henley, Danny Kortchmar, Greg Ladanyiの3人。曲作りに関してはHenleyとKortchmarが中心になり、曲によってJ.D. Souther(3)や、Tom Petty & the HeartbreakersのMike Campbell(1), Benmont Tench(5, 9), Stan Lynch(10)が共作者になっている。

それでは、このアルバムから4曲をピック・アップ。

まずは、アルバム1曲目の「The Boys of Summer」。"Nobody on the road / Nobody on the beach" というフレーズで始まるこの曲は、少年たちの夏を回想している。でも、甘くノスタルジックな回想ではなく、ビターなメロディやDon Henleyのシリアスな歌声、終盤の "A little voice inside my head said, - Don't look back. You can never look back. - " のフレーズには前を向く凛々しさが感じられる。少年たちの夏に象徴されるものは若さかも知れないし、Eagles時代のことかも知れない。

この曲はTom Petty & The HeartbreakersのギタリストであるMike Campbellとの共作。1曲のみの参加だが、Mike Campbellは心に染み入るような美しいギターを弾き、プロデュースも手がけている。この曲は全米5位を記録するヒットになり、86年のグラミー賞では "Best Male Rock Vocal Performance" を受賞。Don Henleyを代表する1曲になった。

ミディアム・テンポの「Not Enough Love in the World」は、Henley - Kortchmar - Benmont Tenchの曲。メロディは穏やかで明るいが、うまく行かない男女の仲を歌っている。HenleyはStevie Nicksと70年代の終わりに1年ほど恋仲にあったようで、その事を歌っているという説もある。この曲は全米34位(ACチャートでは6位)に到達。また、95年のCherのアルバム『It's a Man's World』でカバーされ、シングル・カットもされている。

Danny Kortchmarの書いた「All She Wants to Do Is Dance」は、時流のデジタル・サウンドに乗ったダンサブルなナンバー。本作からのセカンド・シングルになり、全米チャートの9位を記録した。骨太なギターを演奏しているのはKortchmarで、Henleyはドラムスを演奏。また、TOTOのDavid Paichがシンセを、Steve Porcaroがプログラミングを担当している。バック・ヴォーカルに参加したPatty Smyth(スマイス)はScandalというロック・バンドの女性ヴォーカルで、同じ年に発表されたScandalのアルバム『Warrior』からはタイトル曲の「The Warrior」が全米7位のヒットになっている。

「Sunset Grill」もデジタル楽器を生かした80年代らしい曲。Henley - Kortchmar - Tenchの共作で、曲調はEaglesのバラード曲のようにゆったりとして雄大だ。印象的なシンセサイザーのアレンジにはRandy Newmanも参加。Pino Balladinoのフラットレス・ベースやホーン・セクションも加わって重厚な作りになっている。この曲は4枚目のシングルになり、チャートの22位をマークした。

3曲目の「Man with a Mission」にはソロ・デビューする前のCharlie Sexton(当時16歳)や、The Go-Go'sのBelinda Carlisleも参加している。80年代のど真ん中を行くカッコいいアルバムだ。

●収録曲
  1. The Boys of Summer - 4:45
  2. You Can't Make Love - 3:34
  3. Man with a Mission - 2:43
  4. You're Not Drinking Enough - 4:40
  5. Not Enough Love in the World - 3:54
  6. Building the Perfect Beast - 4:59
  7. All She Wants to Do Is Dance - 4:28
  8. A Month of Sundays - 4:30
  9. Sunset Grill - 6:22
  10. Drivin' with Your Eyes Closed - 3:41
  11. Land of the Living - 3:24

◆プロデュース: Don Henley(vo, ds, per, k, sy), Danny Kortchmar(g, b, k, sy, horns, per), Greg Ladanyi, Mike Campbell(g, sy, per)

◆参加ミュージシャン: Steve Porcaro(sy), Benmont Tench(k, sy), David Paich(k, sy), Randy Newman(sy), Lindsey Buckingham(g, bv), Charlie Sexton(g), Pino Balladino(b), Belinda Carlisle/Patty Smyth/J.D. Souther(bv), etc

スポンサーリンク