TOTO Ⅳ / 聖なる剣 (1982年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、TOTOの1982年のアルバム『TOTO Ⅳ / 聖なる剣』の紹介です。
TOTOはLAを中心に活動していたプロのセッション・ミュージシャンたちが1976年に結成したロック・バンド。結成時のメンバーはDavid Paich(k), Jeff Porcaro(ds), David Hungate(b), Steve Lukather(g), Steve Porcaro(k), Bobby Kimball(vo)の6人で、HungateとKimballを除く4人は少年時代からの友達である。
この『聖なる剣』は、彼らに大きな成功をもたらした4作目。アルバムはBillboard 200チャートの4位をマークし、シングルでは、「Africa」がBillboard Hot 100チャートの1位を獲得したほか、「Rosanna」が2位、「I Won't Hold You Back」が10位となり、3曲がTop 10に入った。また、83年のグラミー賞では、「Album of the Year」「Record of the Year (Rosanna)」を始めとする6部門を受賞している。
彼らの大きな魅力は、演奏技量の高さやアンサンブルの良さにあるが、才能のバランスが取れていることも魅力の一つ。例えば、本作のリード・ヴォーカルに関しては、Kimballが4曲(2, 4, 8, 9)、Lukatherが3曲(1, 3, 6)、Paichが2曲(7, 10)、S.Porcaroが1曲(5)を担当しており、バラエティ豊か。曲作りにおいても、Paichが5曲(1, 2, 7, 8, 10)、Lukatherが2曲(3, 6)、Kimballが2曲(4, 9)、S.Porcaroが1曲(5)をリードしており、バランスがいい。メンバーそれぞれの豊かな才能が結集されている。
彼らのアンサンブルの良さは、凝った構成の楽曲で存分に発揮される。デビュー作『宇宙の騎士』の「Girl Goodbye」やサード・アルバム『Turn Back』の「Goodbye Elenore」などはそうだし、本作でいうと、「Good for You」や「We Made It」の演奏の一体感に痺れる。一方で、Lukatherは「I Won't Hold You Back」のようなしっとりしたバラードを得意としており、これもTOTOの魅力。
それぞれがプロのセッション・プレイヤーとして仕事をしているので、TOTOのメンバーが参加した他のアーティストのアルバムは沢山ある。そうした作品を物色して、Jeff Porcaroの表情豊かなドラムスやLukatherの熱いギターの音を楽しみながらアルバムを聴くと、幸せな気分になる。
- ●収録曲
- Rosanna - 5:31
- Make Believe - 3:45
- I Won't Hold You Back - 4:56
- Good for You - 3:20
- It's a Feeling - 3:08
- Afraid of Love - 3:51
- Lovers in the Night - 4:26
- We Made It - 3:58
- Waiting for Your Love - 4:13
- Africa - 4:57
◆プロデュース: TOTO
◆参加ミュージシャン: Lenny Castro/Joe Porcaro(per), Tom Scott(sax), Jerry Hey/Chuck Findley(tp), Jimmy Pankow(tb), Timothy B. Schmit/Tom Kelly(bv)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません