Steve Marrs / Somebody Somewhere (1982年) – アルバム・レビュー

2019年11月22日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Steve Marrsの1982年のアルバム『Somebody Somewhere』の紹介です。

Steve Marrs / Somebody Somewhere (1982年) フロント・カヴァー

Steve Marrsは、Kenny Logginsの80年代、90年代のほどんどのアルバム制作に、キーボード奏者やソングライターとして参加したミュージシャン。本名は "Steve Wood" で、Kenny Logginsのアルバムでは本名でクレジットされている。

この『Somebody Somewhere』は、Steve Marrsの唯一のアルバム。Hall & Oatesの70年代後半のアルバムをプロデュースしたChristopher Bondがメイン・プロデューサーとなり、「Why Did I Wait So Long」の1曲のみ、Kenny Logginsがプロデュースを担当した。

収録曲のうち、Mike FinniganとMax Gronenthalの共作した「Say It Again」はカヴァー曲だが、他はSteve Marrsの自作曲。「Say It Again」の原曲は、Max Gronenthalの80年のアルバム『Max』に収録されている。

どの曲も、等身大の自然体な印象で、リラックスしている。メロディは穏やかで、80年代の洋楽に特有の華美なアレンジも見られない。曲によっては、70年代のウェスト・コースト・サウンドを再現したような、心地いい懐かしさがある。

ジャケットでは、ショー・ウィンドウの明かりを背に、Steveが夜の街角に佇む。このロマンティックな雰囲気にぴったりなのが、タイトル曲の「Somebody Somewhere」。浮遊感のある優しいメロディを、Pagesを思わせる澄んだハーモニーで包んでおり、とてもメロウ。

バック・ヴォーカルに参加しているKenny Logginsの溌剌とした声がやたらよく聴こえて、何だか微笑ましい。バック・ヴォーカルには、Steveの奥様のBeth Fitchetも参加。そうした幸せなムードと、心地いい懐かしさに包まれたアルバム。

●収録曲
  1. Don't Come Back A Stranger / 愛の幻影 - 4:03
  2. Say It Again - 3:11
  3. How Was I To Know / とどかぬ想い - 3:12
  4. Talkin' About My Baby - 4:01
  5. Somebody Somewhere - 3:25
  6. Why Did I Wait So Long / ウェイト・ソー・ロング - 4:07
  7. Just A Dreamer / ドリーマー - 4:57
  8. I Can't Take It No More / テイク・イット・ノー・モア - 3:19
  9. One More Loser - 3:32

◆プロデュース: Christopher Bond(g, sy, bv), Kenny Loggins(bv, ar)

◆参加ミュージシャン: Steve Marrs(vo, k), John Hug/Steve Lukather(g), Tom Hensley/Jai Winding(k), Scott Edwards/Neil Stubenhaus(b), Ed Greene/Tris Imboden(ds), John Phillips(sax), Bill Champlin/Richard Page/Beth Fitchet(bv), etc

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