Wondergap / Wondergap (1978年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Wondergapの1978年のアルバム『Wondergap』の紹介です。

Wondergap / Wondergap (1978年) フロント・カヴァー

Wondergapは、シンガー・ソングライターのAndy Goldmarkが、ギタリストのJim Ryan、女性シンガーのHolly Sherwoodと結成したポップ・トリオ。この『Wondergap』は、彼らの残した唯一のアルバム。

Andy Goldmarkには1973年のソロ・アルバム『Andy Goldmark』があり、シンガー・ソングライターの名作として評価されている。80年代以降はソングライターの活動に専念するので、レコード制作については、ソロ・アルバム1枚とWondergapのこのアルバムしかない。一方、ソングライターとしては、Pointer Sisters、Jermaine Jackson、Jeffrey Osborne、Michael Boltonなどに多くのヒット曲を提供した。自分のレコードを作るよりも、人に曲を書く方がきっと性に合うのだろう。

本作に参加したミュージシャンは、NYを中心に活躍する名手たち。Cornell Dupree(g), Richard Tee(k), Chris Parker(ds)は、Stuffのメンバー。そこに、Anthony Jackson/Will Lee(b), David Sanborn(sax), Leon Pendarvis(k)なども加わった。また、双子のAlessi兄弟のBilly Alessiがキーボードで参加している。

メロディはポップだけど、大人っぽいアルバム。曲が洗練されていて、"玄人の余裕" のようなものを感じる。Jim Ryanの渋く熟したギターの音色と、Holly Sherwoodのパンチのある歌声も魅力。Hollyの歌をフィーチャした「Sing Hi, Sing Lo / 歌え、高らかに」では、気持ちの入った熱い歌声を聴くことができる。

「Elise / 太陽のエリーズ」「Isn't It Crazy (Starting All Over)」では、Andy Goldmarkの書くメロディの優しさと歌声の温かさがじわりとくる。実は、Andyのリード・ヴォーカル曲がほとんど(10曲中の7曲)。特に、「太陽のエリーズ」の歌声は何だか切なくて、素敵です。

"このアルバムは偉大なニューヨークの伝統が戻ってきたことを示している。素晴らしい音楽家たち、強いシンガー、見事な演奏、いい歌…。" プロデューサーのJohn Anthonyの言葉が胸にストンと落ちる名作。

●収録曲
  1. Give Me One Last Chance / ワン・ラスト・チャンス - 3:02
  2. Elise / 太陽のエリーズ - 3:54
  3. You Slicky My Heart / 心やすらかに - 3:22
  4. Mambo Lady - 4:29
  5. Sing Hi, Sing Lo / 歌え、高らかに - 4:38
  6. Too Wise - 4:17
  7. Go On And Take A Bow / ゴー・オン - 3:16
  8. I've Never Been So Happy / 果てしない日々 - 3:54
  9. Isn't It Crazy (Starting All Over) - 4:01
  10. Viking - 4:05

◆プロデュース: John Anthony

◆参加ミュージシャン: Andy Goldmark(vo, k), Jim Ryan(g, vo), Holly Sherwood(vo)
with Cornell Dupree(g), Richard Tee/Leon Pendarvis/Billy Alessi(k), Anthony Jackson/Will Lee(b), Chris Parker(ds), David Sanborn(sax), etc

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