Marc Jordan / Mannequin (1978年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Marc Jordanの1978年のアルバム『Mannequin / マネキン』の紹介です。

Marc Jordan / Mannequin (1978年) フロント・カヴァー

Marc Jordanは、ニューヨーク生まれのカナダ人シンガー・ソングライター。セッション・ミュージシャンやソングライターとして活動しながらソロ・アルバムもコンスタントに制作しており、特に最初の2枚のアルバムはAORの名盤として高い人気と評価を得ている。

本作はファースト・アルバムで、Steely Danの一連のアルバムのプロデュースを手掛けたことで知られるGary Katzがプロデュースを担当した。なお、79年のセカンド・アルバム『Blue Desert』では、当時勢いのあったJay Graydonがプロデュースを担当している。

Steely Danの名作『Aja / 彩(エイジャ)』の翌年ということもあって、このアルバムにはDonald Fagenを始めとする "Aja参加ミュージシャン" が多く集まった。他にもDavid FosterやTOTOのメンバー、J.D. SoutherやTimothy B. Schmitなど、AORやウェスト・コースト・サウンドを牽引した面々がこぞって参加している。デビュー・アルバムにして、これだけの豪華な顔ぶれは珍しい。

  • 「Survival」の乾いたギターはLarry Carltonかな? どっしりした硬質なドラムスはHarvey Masonだろう。
  • 「Jungle Choir」のクールなシンセはDonald Fagen、グルーヴ感満点のドラムスはJeff Porcaroだな。
  • 「Mystery Man」の艶やかなギターはLarry Carlton、いやDean Parksだろうか? もしかしてJay Graydon?

…などと勝手に想像しながら聴くのは本当に楽しい。

全曲がMarc Jordanの作。ロック、ポップス、ジャズなど、曲によって表情を変えながら、洒落たメロディと上品な演奏を楽しむことができる。どの曲も、聴いていて心地よいことこの上なし。

「Only Fools」などは、Steely Danのアルバムに入っていそうなクールな雰囲気。また、「Marina Del Ray」のようなトロピカルな避暑地ポップスもMarc Jordanらしい。この曲は、カナダのAC(Adult Contemporary)チャートでは23位をマークした。

Marc Jordanの歌い方はどこかぶっきらぼうでラフな感じだが、バックのきちんとした演奏と不思議と合う。

Marc Jordanのソング・ライティングのセンスが光る名盤。2016年4月にワーナーの「新・名盤探検隊」シリーズから、最新のデジタル・リマスタリングでCDが再発されている。

●収録曲
  1. Survival - 3:40
  2. Jungle Choir - 3:00
  3. Mystery Man - 4:08
  4. Marina Del Ray - 3:11
  5. Red Desert - 4:45
  6. Street Life - 4:24
  7. Dancing On The Boardwalk - 3:54
  8. Only Fools - 3:50
  9. On Step Ahead Of The Blues / ブルースの一歩先 - 2:58
  10. Lost Because You Can't Be Found / 愛はこれから - 2:42

◆プロデュース: Gary Katz

◆参加ミュージシャン: Donald Fagen/David Foster/David Paich(k), Larry Carlton/Dean Parks/Steve Lukather(g), Chuck Rainey(b), Jeff Porcaro/Harvey Mason(ds), Tom Scott(sax), J.D. Souther/Timothy B. Schmit/Brenda Russell(bv), etc

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