Steely Dan / Aja (彩(エイジャ)) (1977年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Steely Danの1977年のアルバム『Aja / 彩(エイジャ)』の紹介です。
Steely Danは、Donald Fagen(vo, k)とWalter Becker(g)の二人を中心とするグループ。1972年の結成当初は6人のメンバーがいたが、次第にグループの輪郭は曖昧になり、二人の周りに優秀なセッション・ミュージシャンを集めて活動するスタイルへと移行していった。76年の前作『Royal Scam / 幻想の摩天楼』からは、バンドというよりはFagenとBeckerのユニットになっている。
本作は彼らの6作目のスタジオ・アルバム。Steely Danを代表するアルバムであるばかりでなく、AC(Adult Contemporary)ミュージックやAOR、もっと広げてロックが到達した神々しい高みのようなアルバムである。
本作は、よく知られているように予算と人(ミュージシャン)を贅沢に投入して制作された。他にもそのようなスタイルで制作されたアルバムはあるが、本作ではそれが徹底されており、「Peg」でJay Graydonのトリッキーなギター・ソロを採用するまでに6人(8人以上という説も)の著名なギタリストにソロを弾かせたといったエピソードが、二人の妥協のなさを物語る。
誰もが彼らのようなやり方を許されるわけはないので、応じたミュージシャンたちが二人の旺盛な熱意と高いプロ意識に対して寛容で、かつ尊重したということだろう。それぞれが最高の環境で存分に腕を振い、「Home At Last」におけるBernard Purdie(ds)のシャッフルなど、語り継がれる名演が生まれた。
このアルバムは78年のグラミー賞において、「Best Engineered Recording (Non Classical) / 最優秀録音賞」を受賞。また2003年にはグラミー賞の殿堂入りを果たした。チャート面では、アルバムはBillboard 200チャートの3位を記録。シングルは、「Peg」がBillboard Hot 100チャートの11位、「Deacon Blues」が19位、「Josie」が26位であった。
ジャケットの女性は日本人モデルの山口小夜子氏で、撮影も日本人カメラマンの藤井秀樹氏である。美を感じさせる『彩』という漢字を "彩(エイジャ)" と表記し、「Aja」の邦題にあてる日本側スタッフのセンスも抜群。
このタイトル曲で聴くことのできる圧巻のドラムスは、Steve Gaddによる名演。ダイナミックかつ繊細なドラムスを、Steve Gaddはワン・テイクで叩いたとのこと。そのような幸運も本作の成功の一因だった。
- ●収録曲
- Black Cow - 5:10
- Aja / 彩(エイジャ) - 7:57
- Deacon Blues - 7:33
- Peg - 3:57
- Home At Last / 安らぎの家 - 5:34
- I Got The News - 5:06
- Josie - 4:33
◆プロデュース: Gary Katz
◆参加ミュージシャン: Donald Fagen(vo, k), Walter Becker(g, b)
with Larry Carlton/Lee Rinenour/Jay Graydon/Steve Khan/Dean Parks(g), Joe Sample/Don Grolnick/Michael Omartian(k), Victor Feldman(k, per), Chuck Rainey(b), Steve Gadd/Paul Humphrey/Bernard Purdie/Rick Marotta/Ed Greene/Jim Keltner(ds), Tom Scott/Wayne Shorter(sax), Michael McDonald/Timothy B.Schmit(bv), etc
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