Gino Vannelli / Brother To Brother (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gino Vannelliの1978年のアルバム『Brother To Brother』の紹介です。
Gino Vannelliはカナダ生まれのシンガー・ソングライター。風格とオリジナリティのある曲を作り、それを抜群の歌唱力で情熱的に歌うスタイルは多くの音楽ファンを魅了し、プロのミュージシャンからも高いリスペクトと賞賛を集めている。
本作は、Gino Vannelliの最高傑作と称される6作目。モノトーンのシックなジャケットには、青く "Brother To Brother" と印字されている。Gino Vannelliは3人兄弟の真ん中であり、このアルバムを兄のJoe、弟のRossと3人でプロデュースした。まさに「Brother To Brother」のタイトルに相応しいアルバムだ。
本作からは、Gino Vannelliのキャリアにおける最大のヒット曲「I Just Wanna Stop」が生まれた。この曲はファースト・シングルとなり、Billboard Hot 100チャートの4位となるヒットを記録。カナダのシングル・チャートでは1位を獲得している。このロマンティックで雄大なバラードを書いたのはGino本人ではなく、弟のRoss。Rossは続くエモーショナルなナンバーの「Love & Emotion」も書いている。
Rossの2曲以外は全て、Gino Vannelliの作詞・作曲。タイトル曲の「Brother To Brother」を始め、多くの曲でスリリングかつテクニカルな演奏が繰り広げられ、まるでフュージョンのアルバムのよう。
特にギターが全面的にフィーチャされているが、このエモーショナルで芸術的なギターを弾いているのはCarlos Rios。本作での卓越したプレイが注目され、この後にセッション・ギタリストとして多忙になった。他にも、Mark Craneyの手数の多いドラムスやErnie Wattsの美しいサックス、Waters姉妹の神々しいバック・ヴォーカルなど、演奏面でも聞き惚れるところの多いアルバムだ。
何よりも、そうした強力なサウンドを力強く牽引するGino Vannelliのヴォーカルが素晴らしい。圧倒的な声量があり、燃えるように情熱的で、そして威厳に満ちている。神々しささえ感じる見事な歌いっぷりである。
ジャケットのGino Vannelliは、ギリシャ彫刻のような精悍な顔に思索的な表情を浮かべる。歌声の情熱と裏腹のこの知的な佇まいにも惹かれる。
- ●収録曲
- Appaloosa - 4:44
- The River Must Flow / 愛の激流 - 3:48
- I Just Wanna Stop - 3:37
- Love & Emotion - 3:49
- Feel Like Flying - 5:17
- Brother To Brother - 7:16
- Wheels Of Life / 人生 - 4:14
- The Evil Eye - 4:14
- People I Belong To / 美しき仲間 - 4:01
◆プロデュース: Gino Vannelli(vo, ar), Joe Vannelli(k, ar), Ross Vannelli(bv, ar)
◆参加ミュージシャン: Carlos Rios(g), Jimmy Haslip/Leon Gaer(b), Mark Craney(ds), Manolo Badrena(per), Victor Feldman(vib), Ernie Watts(sax), Julia Waters/Maxine Waters/Stephanie Spruill(bv)
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