Nicolette Larson / Nicolette (愛しのニコレット) (1978年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Nicolette Larsonの1978年のアルバム『Nicolette / 愛しのニコレット』の紹介です。

Nicolette Larson / Nicolette (愛しのニコレット) (1978年) フロント・カヴァー

Nicolette Larsonは、アメリカ西海岸の音楽シーンで活躍した女性ポップス・シンガー。1975年頃からLAでスタジオ・シンガーの仕事をするようになり、Neil Youngの77年のアルバム『American Stars 'n Bars』や78年のアルバム『Comes A Time』への参加で一躍注目を集めるようになった。

本作は、Nicolette Larsonが26歳になる年にリリースされたデビュー・アルバム。Billboardのアルバム・チャートでは15位をマークしたヒット作である。

哀愁を帯びたメロディが魅力の「Lotta Love」はNeil Youngの曲。本作からのファースト・シングルとなって、Billboard Hot 100チャートの8位にチャート・インした。先に書いたNeil Youngのアルバム『Comes A Time』の収録曲であり、そこでは彼女がほとんどの曲でデュエット・パートナーを担当している。

甘いメロディの「You Send Me」はSam Cookeの作で、1957年に全米No.1を記録したヒット曲。Nicolette Larsonの歌声がとても愛らしい。

「Can't Get Away From You / あなたのとりこ」はLauren Woodの作で、Woodが在籍したChunky, Novi & Ernieの77年のアルバム『Chunky, Novi & Ernie』の収録曲。クレジットには名前が無いが、この曲の豪快なギター・ソロはEddie Van Halenである。プロデューサーのTed Templemanがセッションに呼んだのだろう。

メロウな「Give A Little」は寂しげなメロディが印象的。Little FeatのBill Payneの提供曲で、ヒットこそしなかったが、このアルバムのサード・シングルとなっている。Bill Payneは "Special Thanks" に名前が挙がっており、本作への貢献度は大。そのせいか、「Rhumba Girl」や「Baby, Don't You Do It」は見事なLittle Featサウンドになっている。

メロディが美しい「French Waltz」は、Art Garfunkelも81年のアルバム『Scissors Cut / 北風のラストレター』で歌った名曲。この曲の優しいヴォーカル・ハーモニーはプロデューサーのTed Templemanだ。

ラストの「Last In Love」は、EaglesのJ.D. SoutherとGlenn Freyが提供した名バラード。J.D. Souther自身も、79年のアルバム『You're Only Lonely』でこの曲を歌っている。優しいストリングスに包まれた美しい曲で、それを歌う彼女の声の切なさが胸の深いところまで沁みる。

ジャケットでポーズをとる彼女はとても愛らしいが、97年に45歳の若さで他界。彼女が多くのミュージシャンから可愛がられた理由が分かる名盤である。

●収録曲
  1. Lotta Love / 溢れる愛 - 3:11
  2. Rhumba Girl - 3:52
  3. You Send Me - 3:56
  4. Can't Get Away From You / あなたのとりこ - 3:17
  5. Mexican Divorce / 恋するメキシカン - 3:57
  6. Baby, Don't You Do It - 3:42
  7. Give A Little - 3:00
  8. Angels Rejoiced / 歓喜の天使 - 2:27
  9. French Waltz - 4:22
  10. Come Early Mornin' - 2:42
  11. Last In Love - 3:43

◆プロデュース: Ted Templeman

◆参加ミュージシャン: Nicolette Larson(vo, ag, per), Paul Barrere/Albert Lee(g), Fred Tackett(ag), Billy Payne(k), Bob Gloub/Klaus Voorman(b), Rick Shlosser(ds), Bobby La Kind(per), Victor Feldman(vib), James Burton(dobro), Valerie Carter/Chunky/Michael McDonald/Linda Ronstadt(bv), etc

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