Art Garfunkel / Scissors Cut (1981年) – アルバム・レビュー

2020年2月8日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Art Garfunkelの1981年のアルバム『Scissors Cut / 北風のラストレター』の紹介です。

Art Garfunkel / Scissors Cut (1981年) フロント・カヴァー

Art GarfunkelはNY生まれのシンガー。幼なじみのPaul Simonと1964年にフォーク・ロック・デュオのSimon & Garfunkelを組んでヒット・チャートを席捲し、70年代に入るとソロに転向して、高音の美しいテナー・ヴォイスを生かしたアルバム作りを行うかたわら、俳優としても活動している。

この『Scissors Cut』はArt Garfunkelの5枚目のソロ・アルバム。日本でのファースト・シングルになった「Hang On In / 北風のラストレター」はアップ・テンポのナンバーだが、それ以外は穏やかで静かな曲で構成された美しい作品。

タイトル曲の「Scissors Cut」はJimmy Webbの書いた名曲。サビの "Scissors cut, paper covers rock / Breaks the shining scissors" では、傷つけあう男女の関係を際限のないじゃんけん遊びに例えている。穏やかながら凛とした曲調と、Larry Knechtel(k), Andrew Gold/Dean Parks(g), Leah Kunkel(bv), Teo Macero(conductor)等による情感をたたえた演奏が感動的で、特にTeo Macero(テオ・マセロ)の指揮するストリングスの美しさや、Leah Kunkelの清涼感のあるバック・ヴォーカルが印象に残る。

「A Heart In New York」は生まれ故郷のニューヨークを歌った曲。街の音を効果的に取り入れたサウンドからは、ニューヨークという都会の喧騒や、希望と緊張が入り混じったような独特の空気が伝わってくる。終始繰り返されるアコースティック・ギターは作者の一人のGraham Lyleの演奏だろうか。凛々しいサックス・ソロはMichael Brecker。この曲はアメリカでのファースト・シングルになり、Billboard Hot 100チャートの66位をマークしている。

「Can't Turn My Heart Away」と「The Romance」はEric Kazの書いたロマンティックなナンバー。このアルバムは、アメリカ盤とUK/日本盤では曲目が異なっていて、「The Romance」はUK/日本盤のみの収録。アメリカ盤では、代わりに前作『Fate for Breakfast』から「Bright Eyes」が選曲されている。「The Romance」でのArt Garfunkelの歌声はとても繊細で、靄の中から聴こえてくるように神秘的。本作の中でもひと際美しい。

続く「In Cars」もJimmy Webbの書いた胸を打つように美しいナンバー。Paul Simonがバック・ヴォーカルで参加し、曲の終わりには "Led me to one place there / She once was a true love of mine" と歌われ、Simon & Garfunkelの「Scarborough Fair」のフレーズを思い出させる。

ラストの「That's All I've Got To Say」もJimmy Webbの作で、81年の映画『The Last Unicorn』の主題曲になっている。「Scissors Cut」と「In Cars」の2曲は、Jimmy Webbの翌年のアルバム『Angel Heart』にも収録された。

バック・カヴァーに写る美しい女性はArt Garfunkelの恋人だったLaurie Birdで、クレジットの最後には "and is dedicated to you, Bird" と記されている。

Art Garfunkel / Scissors Cut (1981年) バック・カヴァー
●収録曲
  1. Scissors Cut / 愛の回転木馬 - 3:52
  2. A Heart In New York - 3:14
  3. Up In The World / 街はたそがれ - 2:17
  4. Hang On In / 北風のラストレター - 3:47
  5. So Easy To Begin / 雨の舗道 - 2:54
  6. Can't Turn My Heart Away / ひとり窓辺で - 3:23
  7. The French Waltz - 3:12
  8. The Romance - 3:10
  9. In Cars / 美しき若葉の頃 - 3:49
  10. That's All I've Got To Say (Theme From "The Last Unicorn") / 愛してる、ただそれだけ… - 1:54

◆プロデュース: Roy Halee, Art Garfunkel(vo)

◆参加ミュージシャン: Andrew Gold/Pete Carr/Dean Parks(g), Joe Osborn/Tony Levin(b), Rick Shlosser/Rick Marotta/Russ Kunkel(ds), Larry Knechtel/Jimmy Webb(k), Rob Mounsey/Michael Boddicker(sy), Michael Brecker(sax), David Campbell(strings), Teo Macero(conductor), Paul Simon/Lisa Garber/Leah Kunkel(bv), etc

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