Kenny Loggins / Celebrate Me Home (未来への誓い) (1977年) – アルバム・レビュー

2019年12月14日2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Kenny Logginsの1977年のアルバム『Celebrate Me Home / 未来への誓い』の紹介です。

Kenny Logginsはアメリカのシンガー・ソングライター。Jim Messinaとポップ・ロック・デュオのLoggins and Messinaを組んで1971年から76年まで活動した後にソロとなり、アルバム制作やライヴ活動のほかに、80年代以降は映画の主題歌を歌って多くのヒットを生んでいる。特に、『Footloose』の主題歌（84年, 米1位）と『Top Gun』の主題歌「Danger Zone」（86年, 米2位）は有名。

この『Celebrate Me Home』は、Loggins and Messinaを解散した翌年に発表された最初のソロ・アルバム。ジャズ・キーボード奏者のBob Jamesと、Billy Joelなどのプロデュースで知られるPhil Ramoneがプロデュースを手がけている。

収録曲は、Patti Austinの書いた「I've Got The Melody」と、Ray Charles等、多くの歌手に歌われたスタンダード・ナンバーの「You Don't Know Me」を除いてKenny Logginsのオリジナル。ほとんどを共作しており、共作者はJohn Townsend(1), Jimmy Webb(2), Bergman夫妻(3), 翌年に奥様になるEva Ein(4, 5, 9), Bob James(8), David Foster(9)となっている。

Loggins & Messinaの頃や「Footloose」のような快活なヒット曲から想像されるアップ・テンポの曲は少なく、ジャズ／フュージョンの実力派による洗練した演奏をバックにKenny Logginsがじっくり歌うタイプの曲が多い。

アップ・テンポな曲のうち、ポップで軽快な「I Believe In Love / 愛を信じて」はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの66位をマークした。この曲は、Barbra Streisand主演の76年の映画『A Star Is Born / スター誕生』に提供したナンバーで、映画ではBarbra Streisandが驚異的な歌唱力で歌っている。Kenny Logginsのバージョンはピッチをやや落としたメロウなアレンジ。

Patti Austinの書いた「I've Got The Melody」もアップ・テンポなナンバー。華やかなムードを上品に纏い、Patti Austinのハリのある歌声が爽やかなスパイスを効かせる。いま再評価されているシティ・ポップのお手本のようにお洒落な曲。もう1曲、David Fosterと共作した「Daddy's Back」もとびきりお洒落なシティ・ポップ。この2曲ではSteve Gaddがドラムスを演奏している。

Bob Jamesと共作した「Celebrate Me Home」は、歌いだしが "Home for the holidays" であることや、静かな曲調が聖夜を思わせることから、クリスマス・ソングとして広く聴かれている。曲の終盤のゴスペル調の合唱もいい雰囲気。

曲の終わりにHiram Bullockのカッコいいギター・ソロを聴ける「Lady Luck」や、Bob Jamesの優しいエレピとEric Galeの渋～いエレキを伴奏にKenny Logginsがしっとりと歌い上げる「You Don't Know Me」など、それぞれの曲にいい味がある。Jimmy Webb好きの私には、Webbと共作した「If You Be Wise」がファイヴァリット。とてもメロウです。

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◆プロデュース： Bob James(k), Phil Ramone

◆参加ミュージシャン： Kenny Loggins(vo, g, k), Hiram Bullock/Robben Ford/Eric Gale/Steve Khan/Hugh McCracken/Dean Parks/Lee Ritenour(g), Richard Tee(k), George Hawkins(b, bv), Steve Gadd/Harvey Mason(ds), Steve Forman(per), Patti Austin/Lani Groves(bv), etc