Ben Sidran / The Doctor Is In (1977年) – アルバム・レビュー

2019年12月7日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Ben Sidranの1977年のアルバム『The Doctor Is In』の紹介です。

Ben Sidran / The Doctor Is In (1977年) フロント・カヴァー

Ben Sidranはシカゴ生まれのミュージシャン。英国サセックス大学の博士号を有し、音楽や特にジャズに対する造詣が深いことから "ドクター・ジャズ" の異名をもつ才人だ。Steve Miller Bandにキーボード奏者として参加したり、「Go Jazz」レーベルを主宰したり、音楽ライターとして著作活動をしたりと、その活動は多岐にわたる。

ソロ・アルバムは1971年から出しており、この『The Doctor Is In』は6作目。ジャズへの思いやリスペクトがたっぷり注がれた内容だが、ジャズのアルバムではなく、上質な "ジャズっぽいポップ・アルバム" になっているところが魅力。

Ben Sidran自らがプロデュースを担当し、自作のヴォーカル曲(9曲)のほかに、ジャズ・スタンダードの「Silver's Serenade」と「Good Bye Pork Pie Hat」のカヴァー(どちらもインスト曲)を収録している。

「Silver's Serenade」は、ジャズ・ピアニストのHorace Silverのアルバム『Silver's Serenade』(63年)の収録曲。同アルバムに参加していたBlue Mitchellが、ここでもクールなトランペットを披露しており、とても聴き応えがある。この曲と「Charlie's Blues」では、ドラムスをTony Williams、ベースをRichard Davisが演奏しているのも聴きどころ。

一方の「Good Bye Pork Pie Hat」は、Jeff Beckの『Wired』(76年)や、Joni Mitchellの『Mingus』(79年)でカヴァーされたことで、ロック好きにも馴染みのある曲。原曲は、ジャズ・ベース奏者のCharles Mingusのアルバム『Mingus Ah Um』(59年)に収録されており、同年に亡くなったサックス奏者のLester Youngに捧げられている。Porkpie Hat(ポークパイ・ハット)は、Lester Youngのトレードマークだったようだ。

この2曲以外のヴォーカル曲では、Ben Sidranの粋でクールな歌いっぷりを存分に味わえる。特に「Song For A Sucker Like You / 世間知らずの歌」での歌いっぷりは、胸のすくようなかっこ良さ。

このアルバムは、ソニーの「AOR CITY 1000」から、2016年にCDが再発されている。今年7月には、『Free In America』(75年)、本作(77年)、『A Little Kiss In The Night』(78年)、『Live At Montreux』(78年)の4作品をデジタル・リマスタリングした『2CDのセット』がBGO Recordsから発売されており、おすすめ。

●収録曲
  1. Get It Yourself - 3:02
  2. Song For A Sucker Like You / 世間知らずの歌 - 4:19
  3. Broad Daylight - 3:30
  4. One Way Grave - 3:39
  5. See You On The Other Side - 4:20
  6. Set Yourself Free - 4:29
  7. Silver's Serenade - 5:11
  8. Nobody's Fool - 3:03
  9. Charlie's Blues - 1:59
  10. Good Bye Pork Pie Hat - 3:37
  11. Be Nice 1:02

◆プロデュース: Ben Sidran(vo, k)

◆参加ミュージシャン: Nick DeCaro(ar), Larry Carlton(g), Phil Upchurch/Richard Davis/Chuck Domanico(b), Tony Williams/John Guerin(ds), Ray Armondo/Gary Mallaber(per), Blue Mitchell(tp)

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