Rosie / Last Dance (1977年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Rosieの1977年のアルバム『Last Dance』の紹介です。

Rosie / Last Dance (1977年) フロント・カヴァー

Rosieは、ソウルフルなファルセット唱法を持ち味とするDavid Lasley率いる男女3人のヴォーカル・グループ。David以外は女性ヴォーカルで、ジャケットの左から、Lynn PitneyとLana Marrano。彼らはアルバムを1976年と77年に1枚ずつ残しており、この『Last Dance』はセカンド・アルバムだ。

David Lasleyはセッション・シンガーとして様々なアーティストのアルバムに参加しているが、特にJames Taylorとの仕事は長く、79年の『Flag』以降のアルバムのバック・ヴォーカルをレギュラーで担当している。また、優れたソングライターでもあり、Boz Scaggsの「Jojo」(80年)を始めとする数々の名曲を作/共作している。本作では、全曲をDavidが作曲し、詩については半分くらいをLanaが書いた。

CD解説によると、Davidは "男性シンガーよりも女性シンガーやガールズ・グループが好き" と語っており、そのことはDavidの官能的なファルセットやRosieの美しいハーモニーに良く表れている。また、デトロイト育ちということもあって、甘いノスタルジーのある「The Words Don't Matter」や「The Angel In Me」のようなポップ・ソウル・ナンバーには、モータウン・サウンドの雰囲気がある。

3曲目の「Out Of Pawn」はとろけるようにメロウ。バック・ヴォーカルにJames Taylorが参加して、一聴して分かる穏やかな歌声を添えており、Cornell Dupree(g), David Sanborn(sax), Mike Mainieri(vibe)などの名プレイヤーによるツボを押さえた演奏も実にリラックス。この曲は、英国シンガーのTim Curryのアルバム『Simplicity』(81年)でカヴァーされた。

ラストの「I See Home」はゆったりとしたソウル・ナンバーで、Cornell Dupreeのギターが渋い味わいを出している。こちらは、Patti Labelleのアルバム『Tasty』(78年)や、Donna Washingtonのアルバム『Going For The Glow』(81年)でカヴァーされた。

David Lasleyの82年のソロ・アルバム『Missin' Twenty Grand』も素晴らしい内容。"The 20 Grand" は、デトロイトにある伝説のナイト・クラブ。10代半ばのDavidは、そこでモータウン・レコードの看板アーティストの前座を務めて実力を認められた。バック・カヴァーには、"僕の生きている間に人を肌の色で判断しない世界が訪れるように、このレコードを世界中の子供たちに捧ぐ" と記されている。

●収録曲
  1. The Words Don't Matter - 3:32
  2. Back On The Street Again - 5:25
  3. Out Of Pawn - 5:09
  4. There's A Song In It Somewhere - 2:55
  5. Last Dance Of Summer - 3:29
  6. The Angel In Me - 4:06
  7. Missin' - 4:13
  8. Mississippi Baby - 3:19
  9. Dancin' On Rivers - 3:02
  10. Run That Movie Back - 4:17
  11. I See Home - 4:01

◆プロデュース: Michael Kamen(ar, k)

◆参加ミュージシャン: David Lasley(vo, p), Lynn Pitney/Lana Marrano(vo)
with James Taylor(vo), Cornell Dupree/David Spinozza/Jeff Mironov/Henry Gross(g), Dr. John(k), John Siegler(b), Charles Collins(ds), David Sanborn(sax), Mike Mainieri(vibe), etc

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