Messenger / Bringin’ The Message (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Messengerの1978年のアルバム『Bringin' The Message』の紹介です。
Messengerは、Contemporary Christian Music (CCM)シーンで活躍するブルー・アイド・ソウル・シンガーであるRick Risoの在籍したグループ。70年代の後半に活動し、76年と78年にアルバムを発表している。ポップ、ソウル、ファンク、ジャズといった要素をハイブリッドしたサウンドはとてもイケていて、CCMらしい "かたさ" がない。この『Bringin' The Message』は、彼らのセカンド・アルバム。
Rick Risoはヴォーカルとギターの担当で、キーボード担当のSi Simonsonと一緒にプロデュースも手がけている。収録曲も、この二人で全てを書いていて、ファンキーでジャジー、メロウもたっぷりなサウンドは清濁併せ呑むように懐が深い。
Rick Risoは器用なミュージシャンだ。「Changin' Me」や「I Still Love You」における軽やかなギターの爪弾きとスキャットは、まるでGeorge Bensonだし、「Our Love Will Grow」や「All You Need」などのバラードにおける豊かな歌いっぷりは、まるでFrank Sinatra。
バック・カヴァーには、赤いジャケットに白い開襟シャツ、サングラスに口髭という格好でステージに立つRick Risoが写る。ギターを抱えてマイクに向かうその姿は、酸いも甘いも噛み分けた流しのシンガーのよう。これは本当にCCMか? と思って歌詞を見ると、しっかりとリリジャスな表現がある。
本作のベスト・ソングは「I Still Love You」。George Benson的なギターの爪弾きからゆったりとスタートし、途中でリズムが変化すると、間奏ではJerry Heyのフリューゲル・ホーンのソロがとてもクール。これを聴くと、Billy Joelの名曲「Zanzibar」でのFreddie Hubbardのソロを思い出す。
Rick Risoの85年のファースト・ソロ・アルバム『Gotta Have The Real Thing』も、エレガントなAORを楽しめる好盤。そのジャケットでは、ジーンズに赤いTシャツ姿のRickが、コカ・コーラの瓶を手に笑顔でポーズ。お茶目な人です。
- ●収録曲
- Bringin' The Message - 2:57
- Our Love Will Grow - 4:40
- Livin' In Love - 2:44
- Pressin' On - 3:47
- Song In The Night - 3:51
- Changin' Me - 4:16
- All You Need - 3:20
- I Still Love You - 5:08
- Now Is The Time - 3:16
- Home To You - 4:25
◆プロデュース: Rick Riso(vo, g), Si Simonson(k)
◆参加ミュージシャン: Mike Feller(ds, per), Dave Marotta(b), Fred Petry(per), Larry Troxel(vibes), Rebecca Sue Sherburn(bv), Seawind Horns
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