Glad / No Less Than All (1983年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gladの1983年のアルバム『No Less Than All』の紹介です。

Glad / No Less Than All (1983年) フロント・カヴァー

Gladは、Contemporary Christian Music (CCM)のパイオニア的なグループ。1972年にシンガーのEd Nalleが中心となってグループを結成し、最初はプログレッシヴ・ロックをやっていたようだが次第にクリスチャン・ポップ/ロックへとスタイルを変え、88年からはアカペラ・グループになっている。アルバムに関しては78年からこれまでに20作以上を発表しており、7作目まではバンド作品だが、それ以降はアカペラ・アルバムが主体。

この『No Less Than All』は4枚目のアルバム。収録曲は全て彼らのオリジナルで、Ed Nalleとキーボード担当のBob Kauflinが全曲を書いている。クールな楽曲、高い演奏技量、Ed Nalleの伸びやかな歌声、それを包む繊細なヴォーカル・ハーモニーといった彼らの持ち味がバランス良く表れた内容だ。

1曲目の「Once And For All」は、彼らの魅力を凝縮した一曲。モダンでクールな曲調と格調ある美しいハーモニーはPagesみたいで、リズムの取り方をひとひねりしているところなど、アレンジも工夫されている。透き通ったメロディが爽やかな「Forget Me Not」も、洗練度の高いAORチューン。

「Most Of The Time」のようなしっとりしたバラードでは、Ed Nalleの歌のうまさが際立つ。結成当初はプログレッシヴ・ロックを指向していただけに、バンド・アンサンブルと個の演奏技量も優れていて、「Born To Be Broken」のようなロック・ナンバーでの堅実で一体感のある演奏はTOTOみたいな雰囲気。

ラストの「Variations On A Hymn」は、教会ゴスペル、ジャズ、カントリー、The Beach Boysスタイル、ロック、アカペラと、様々なスタイルの讃美歌が飛び出すカラフルで手の込んだヴォーカル・メドレーになっており、のちにアカペラ・グループに着地する片りんがうかがえる。

本作と82年の前作『Captured in Time』をカップリングした2 in 1のCDがあって、自分はそれを持っているけれど、実は各アルバムともに収録曲が1曲ずつ少ないことに後で気づいて、お得なようで少しがっかり…。

●収録曲
  1. Once And For All - 4:32
  2. Maker Of My Heart - 3:34
  3. More Than Just A Little Bit - 4:00
  4. Forget Me Not - 3:23
  5. Most Of The Time - 3:45
  6. Born To Be Broken - 4:39
  7. Celebrate - 3:22
  8. All Times Are His Seasons - 4:03
  9. Variations On A Hymn (That Hymn Thing) - 6:48

◆プロデュース: Ed Nalle, Grad

◆参加ミュージシャン: Ed Nalle(vo, per), Chris Davis(g), Bob Kauflin(k), Don Nalle(b, vo), Art Noble(ds)
with Tim Eyerman(sax, clarinet), etc

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