Boz Scaggs / Middle Man (1980年) – アルバム・レビュー

2023年12月16日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Boz Scaggsの1980年のアルバム『Middle Man』の紹介です。

Boz Scaggs / Middle Man (1980年) フロント・カヴァー

Boz Scaggsはアメリカのブルー・アイド・ソウル~AORシーンを代表するシンガー・ソングライター。元々はブルースやR&Bに音楽のルーツをもつミュージシャンだが、次第に洗練されたソウル・ミュージックを指向し、手ごたえを掴んでいく。

大きな転機になったのは、1976年の傑作『Silk Degrees』。ファンクやロック、レゲエなどの要素を取り入れた "大人の色気香るスタイリッシュな音楽" が幅広い支持を集め、大ブレイク。続く77年の『Down Two Then Left』も艶やかに完成されたブルー・アイド・ソウルの傑作になり、人気を維持した。

それから3年を経て、80年代の最初に発表されたアルバムがこの『Middle Man』。前2作のプロデュースを担当したJoe Wissertに代わり、職人的な音作りをするBill Schneeがプロデュースを担当し、当時勢いのあったDavid Fosterが曲作りを全面的にサポートしている。

アルバム前半(1-4)は洗練されたAORだが、後半(5-9)ではJeff Porcaro(ds), Steve Lukather(g)等、TOTOのメンバーと一緒にエネルギッシュなロックに挑戦しているところが目新しい。なお、曲の作者に関しては、BozとFosterの共作が5曲(2-5, 7)、Bozの自作が2曲(6, 8)、Boz, Foster, David Lasleyの共作が1曲(1)、Boz, Lukather, Bill Schneeの共作が1曲(9)となっている。

前半では、1曲目の「Jojo」が最高の出来。哀感のあるメロディ、タフでセクシーなBozの歌声、Jeff Porcaroの生み出すしなやかでエレガントなグルーヴ、泣きのサックス(Adrian Tapia)が一体になって曲を盛り上げる。クールなバック・ヴォーカルには作者のDavid Lasleyも参加。この曲はセカンド・シングルになり、全米チャートの17位を記録した。

しっとりとしたラヴ・バラードの「You Can Have Me Anytime / トワイライト・ハイウェイ」は、日本でファースト・シングルになった曲。Carlos Santanaがゲストで参加し、曲の後半にSantanaらしい情感のあるギター・ソロを添えている。

後半の1曲目は、タイトル曲の「Middle Man」。シンセのミステリアスなイントロに続いてJeff PorcaroとLukatherがエネルギッシュにドライヴしていくロック・ナンバーで、TOTOの『Hydra』(79年)あたりの雰囲気がある。Bozも張り切って歌っているが、しなやかで滑らかで艶っぽい歌声はロック・ヴォーカルには不向きかも…。「Angel You」と「You Got Some Imagination」も、同じ路線のロック・ナンバーだ。

ファースト・シングルは明るくノリのいいナンバーの「Breakdown Dead Ahead」で、シングル・チャートの15位を記録。なお、アルバムの方はチャートの8位を記録している。

Middle Manとは仲買人(ブローカー)のこと。夜遊びの、恋の、ということか? ちなみに、ジャケットの女性モデルがティーンだったことがアメリカでは物議を呼んだらしい。

プロデュースを担当したBill Schneeはこの頃、オフコースの『We Are』(80年)、『Over』(81年)、『I Love You』(82年)のエンジニアを手がけている。3枚とも洋楽の香りのするナイスなアルバム。

●収録曲
  1. JoJo - 5:51
  2. Breakdown Dead Ahead - 4:33
  3. Simone / シモン (僕の心をもてあそぶ) - 5:05
  4. You Can Have Me Anytime / トワイライト・ハイウェイ - 4:56
  5. Middle Man - 4:51
  6. Do Like You Do In New York - 3:44
  7. Angel You - 3:38
  8. Isn't It Time - 4:53
  9. You Got Some Imagination - 3:56

◆プロデュース: Bill Schnee

◆参加ミュージシャン: David Foster(ar, k), Don Grolnick/David Paich(k), Steve Lukather/Ray Parker Jr./Carlos Santana(g), David Hungate/John Pierce(b), Jeff Porcaro/Rick Marotta(ds), Lenny Castro(per), David Lasley/Sharon Redd/Bill Champlin(bv), etc

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