TOTO / Hydra (1979年) – アルバム・レビュー

2020年2月8日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、TOTOの1979年のアルバム『Hydra』の紹介です。

TOTO / Hydra (1979年) フロント・カヴァー

TOTOはロサンゼルスを中心に活動していたプロのセッション・ミュージシャンたちが作ったロック・バンド。1977年にバンドを結成した時のメンバーは、David Paich(k), Jeff Porcaro(ds), Jeffの弟のSteve Porcaro(k), Steve Lukather(g), David Hungate(b), Bobby Kimball(vo)の6人で、HungateとKimballを除く4人は少年の頃からの顔なじみだった。

彼らがバンドを組んだのは、Boz Scaggsの76年のアルバム『Silk Degrees』のレコーディングにPaich, Jeff, Hungateの3人が集まったことがきっかけとされている。そこに、Lukather, Steve, Kimballが加わってTOTOがスタートした。

78年のデビュー・アルバム『宇宙の騎士』は、ロック、ソウル、フュージョンなどの要素がバランス良くクロスオーバーした傑作。多彩なサウンドは、メンバーたちが様々なジャンルのセッションをサポートしてきた賜物だ。全米チャートの5位を記録したロック・ナンバーの「Hold The Line」や、後に多くのカバーを生むR&Bナンバーの「Georgy Porgy」などを収録し、セールス面でも手ごたえのある結果を残している。

この『Hydra』はセカンド・アルバム。前作とは趣を変え、ロック・バンドらしいアルバムになっている。私の持っているCDのライナー・ノーツには、「コレゾ、真にボクらのベーシックな音!」という彼らのコメントが紹介されている。自分たちは世間で言われているような「セッション・プレイヤーの一時的な集まり」ではなく、「ロック・バンドが本業で、セッション・プレイヤーは副業だよ」ということか。

収録曲の半分、「Hydra」「St. George and the Dragon」「All Us Boys」「White Sister」の4曲は、熱い演奏を繰り広げるロック・ナンバーで、ロック色が強いのがこのアルバムの特徴。残り半分は美しいバラードの「99」「A Secret Love」、ポップな「Lorraine」、ソウル・タイプの「Mama」となっている。

特にタイトル曲の「Hydra」は格調高い曲で、美しい構成とドラマティックな演奏はプログレッシヴ・ロック的。演奏はかなりヘヴィーで、Jeff Porcaroのドラムスにも凄みがある。この曲はメンバー全員による共作だ。それ以外の曲については、ほとんどをPaichが書いているが、ラストの「A Secret Love」はSteve主体。また、Kimballも3曲(6-8)で共作者になっている。

続く「St. George and the Dragon」のサウンドも重量級。イントロは躍動感のあるピアノの連打とタイトなJeffのドラムスで始まり、そこから怒涛の演奏へとなだれ込んでいく。熱いエネルギーを放出しながらも、しっかりと統制されているTOTOの演奏の醍醐味を味わえる。

「99」はLukatherのロマンティックな歌声を聴ける名バラードで、本作からのファースト・シングルとなり、全米チャートの26位をマーク。Lukatherの得意そうなメロディだが、Paichの作である。「A Secret Love」も繊細なバラードで、リード・ヴォーカルを担当したKimballの歌声が美しく、Lukather以上にロマンティック。

リード・ヴォーカルに関しては、Paichが3曲(1, 4-5)、Kimballが4曲(2, 6-8)、Lukatherが1曲(3)を担当している。驚くことに、全ての曲でヴォーカル以外は一発録りらしく、それがライヴ感のあるスリリングな音に表れている。ロック・バンドとしてのTOTOの魅力と、プロの演奏家としての実力を見せつける名作。

●収録曲
  1. Hydra - 7:31
  2. St. George and the Dragon - 4:45
  3. 99 - 5:16
  4. Lorraine - 4:46
  5. All Us Boys - 5:03
  6. Mama - 5:14
  7. White Sister - 5:39
  8. A Secret Love - 3:07

◆プロデュース: Tom Knox, Reggie Fisher, TOTO

◆参加ミュージシャン: Bobby Kimball(vo), Steve Lukather(g, vo), David Paich(k, vo), David Hungate(b), Jeff Porcaro(ds, per), Steve Porcaro(k)
with Michael Boddicker(k), Roger Linn(sy), Lenny Castro(per), Marty Paich(string ar)

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