Boz Scaggs / Down Two Then Left (1977年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Boz Scaggsの1977年のアルバム『Down Two Then Left』の紹介です。

Boz Scaggs / Down Two Then Left (1977年) フロント・カヴァー

Boz Scaggsはアメリカのブルー・アイド・ソウル/Adult Contemporaryシーンを代表するシンガー・ソングライター。1965年にアルバム『Boz』でデビューし、その直後に旧友のSteve Millerが作ったSteve Miller Bandに2年ほど参加するが、基本的にはソロのアーティストとして活動を続けている。

元々は、R&Bやソウル・ミュージックをルーツにもつミュージシャンだが、次第にスタイルが洗練されていき、76年のアルバム『Silk Degrees』では、ファンクやロック、レゲエなどの要素を取り入れた「大人の色気香る洗練されたポップ・ミュージック」で一世を風靡。時の人になった。

『Down Two Then Left』は、その『Silk Degrees』に続くアルバム。Joe Wissertが引き続きプロデュースを担当しているが、サウンドの雰囲気は少し変わり、ソウル、ファンクに的が絞られている。曲作りの面では、前作のDavid Paichの役割をMichael Omartianが担い、5曲(5-9)をBoz Scaggsと共作。残りについては、Bozの自作が4曲(1-3, 10)、BozとJai Windingの共作が1曲(4)となっている。

1曲目の「Still Falling For You」は、前作で大ヒットした「Lowdown」路線のファンキーでメロウなナンバー。Jeff Porcaroが本作でも全曲のドラムスを叩いており、心地よい重量感がありながら、強力なバネの効いたグルーヴを生み出している。

「Hard Times」は、重たいドラムスとねばりつくように濃厚なベースライン(Scott Edwards)が病みつきになる傑作。男の哀愁漂わすといった感じの男性コーラスが渋く、曲のエンディングになるど、さらに渋い音のギター・ソロが流れ出す。これはBoz Scaggs本人によるもの。「Hard Times」というタイトルに相応しい、苦い味わいのナンバーだ。

「Hollywood」は、都会的な華やかさのある曲。Boz Scaggsの歌声は、ファルセットなのか地声なのか分からないが、かなりの高音域。クールな女性バック・コーラスと呼応するように、最初から最後までエレガントに歌い切る。

演奏面ではJeff Porcaro(ds)、Scott Edwards(b)、Ray Parker, Jr.(g)が大活躍しており、Boz Scaggsのソウルフルな歌唱を引き立てている。シングル・ヒットこそ生まれなかったが、アルバムはBillboard 200チャートの11位を記録。ブルー・アイド・ソウルを極めているという点で、熱心なファンが多そうなアルバムだ。

●収録曲
  1. Still Falling for You - 3:52
  2. Hard Times - 4:26
  3. A Clue - 3:53
  4. Whatcha Gonna Tell Your Man - 3:50
  5. We're Waiting - 6:19
  6. Hollywood - 3:08
  7. Then She Walked Away - 4:04
  8. Gimme the Goods - 4:11
  9. 1993 - 4:01
  10. Tomorrow Never Came/Tomorrow Never Came (Reprise) - 4:38

◆プロデュース: Joe Wissert

◆参加ミュージシャン: Michael Omartian(ar, k), Steve Lukather/Jay Graydon/Ray Parker Jr.(g), Scott Edwards/David Hungate(b), Jeff Porcaro(ds), Victor Feldman(per, vibe), Bobbye Hall(per), Bobby King/Phyllis St. James(bv), etc

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