Roger Voudouris / On The Heels Of Love (1981年) – アルバム・レビュー

2023年12月16日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Roger Voudourisの1981年のアルバム『On The Heels Of Love / もうひとつのラヴ・ソング』の紹介です。

Roger Voudouris / On The Heels Of Love (1981年) フロント・カヴァー

Roger Voudourisはカリフォルニア生まれのシンガー・ソングライター。70年代中盤にVoudouris & Kahneというユニットでアルバムを2枚発表したのちにソロに転向した。ソロ・アルバムは4枚あり、本作が4作目にあたる。なお、Voudouris & Kahneの相方のDavid Kahneは、Paul McCartneyを始めとする様々なアーティストのプロデューサーとして活動している。

Roger Voudourisの最初の2枚のソロ・アルバムでは、Michael Omartianがプロデュースを担当した。特に、Jay Graydonが参加した2作目の『Radio Dream』(79年)は爽やかなAORで、「Get Used to It / 僕の想い入れ」というヒット曲(米21位)も生まれた。

この『On The Heels Of Love』では、Charles Calelloがプロデュースを担当している。Calelloは、The Four Seasonsを始め、Barbra StreisandやFrank Sinatra等を手がけたアレンジャー/プロデューサーの大御所。流麗なストリングス・アレンジに定評があり、本作でも、ゴージャスなストリングスが要所で使われている。

Roger Voudourisはギターの腕もあるが、本作でギターを弾いたのは「When Two Divide」の1曲のみで、何よりも歌うことに集中している。その歌声はソウルフルでちょっとハスキー。Michael Boltonほど重たくならずに、爽やかで甘い感じを漂わせるところが魅力だ。

収録曲は全て自作の曲で、その半分(1, 3, 5, 8)はCharles Calelloとの共作になっている。クール&モダンな「When Two Divide」や「She's Too Cold」、Pagesのような「Let Her Get Away」など、曲のクオリティは高い。「First Love」「I Can See Him」「Outgrowing Me」のようなバラード曲も、美しいストリングスとRogerの情熱的な歌声とが相まって、とてもロマンティック。

演奏面では、TOTOのJeff Porcaroが全曲のドラムスを担当している。「When Two Divide」や「She's Too Cold」のシャープでセクシーなグルーヴはJeffならではの味わいだ。「She's Too Cold」のホーンの使い方も、Steely Danみたいにクールに決めている。

甘いマスクのRoger Voudourisはさぞやモテたろうと思うが、残念ながら2003年に48歳という若さで他界した。2作目の『Radio Dream』も、その素敵なタイトルどおりの魅力的な内容で、おすすめ。CDは、ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」から2016年に再発されている。

●収録曲
  1. Heels Of Love - 3:59
  2. When Two Divide - 4:04
  3. She's Too Cold / クールな彼女 - 5:01
  4. First Love - 4:09
  5. Let Her Get Away - 3:59
  6. Another Sad Love Song - 3:18
  7. I Can See Him (In Her Eyes) - 3:59
  8. Outgrowing Me - 4:17

◆プロデュース: Charles Calello(ar)

◆参加ミュージシャン: Roger Voudouris(vo, g), George Doering(g), Philip Aaberg(k), Neil Stubenhaus(b), Jeff Porcaro(ds), Paulinho Da Costa/Steve Forman(per), Tom Scott(sax), Jerry Hey/Jim Horn(tp), Richard Page/Steven George/Thomas Kelly(bv), etc

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