Art Garfunkel / Watermark (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Art Garfunkelの1978年のアルバム『Watermark』の紹介です。
Art GarfunkelはNY生まれの名シンガー。Paul Simonとフォーク・ロック・デュオのSimon & Garfunkelを組んで60年代後半のヒット・チャートを席巻し、70年代以降はソロ活動に専念して、高音の美しいテナー・ヴォイスを生かした良質なアルバムを作っている。
この『Watermark』は3枚目のソロ・アルバム。ソロになってからのGarfunkelはJimmy Webbの曲を好んで歌っているが、本作はまさにJimmy Webbの作品集。収録された12曲のうち10曲がWebbの作品である。
「Crying in My Sleep / 泣きながら目覚めて」「All My Love's Laughter」「Mr. Shuck'n Jive」「Someone Else (1958)」あたりの穏やかで瑞々しい曲調はJimmy Webbの真骨頂。Art Garfunkelの透き通った美声で歌われる切なげなメロディを聴いていると、心が洗われるようだ。
残り2曲のうち、「(What a) Wonderful World」はSam Cookeの1960年のヒット曲(米12位)のカヴァーで、Garfunkel、Paul Simon、James Taylorの3人による美しいハーモニーが感動的。この曲はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの17位、ACチャートでは1位を記録した。もう1曲の「She Moved Through the Fair」はアイルランドのフォーク・ソングである。
参加ミュージシャンはとても豪華だ。「Mr. Shuck'n Jive」の最後に流れる静かなSaxソロは、1940年代から活動する著名なジャズ・サックス奏者のPaul Desmondによる演奏で、これがDesmondの最後のレコーディングとなった。
このアルバムはBillboard 200チャートの19位を記録。海辺でリラックスする写真は、Garfunkelの当時のガール・フレンドであるLaurie Birdが撮影している。女優で写真家だったLaurieは、翌年に25歳の若さで帰らぬ人となった。二人が「Wonderful World」の歌のように幸せな時を過ごしていた頃の名盤だ。
- ●収録曲
- Crying in My Sleep / 泣きながら目覚めて - 4:06
- Marionette - 2:36
- Shine It on Me - 3:26
- Watermark - 2:59
- Saturday Suit - 3:16
- All My Love's Laughter - 3:56
- (What a) Wonderful World - 3:32
- Mr. Shuck'n Jive - 4:48
- Paper Chase - 2:37
- She Moved Through the Fair (Traditional) - 2:45
- Someone Else (1958) - 2:19
- Wooden Planes / 木製飛行機 - 3:13
◆プロデュース: Art Garfunkel, Barry Beckett(k), Phil Ramone
◆参加ミュージシャン: Paul Simon(ag, bv), Jimmy Johnson/Pete Carr/Hugh McCracken(g), Jimmy Webb/Richard Tee/Bill Payne(k), David Hood/Tony Levin(b), Roger Hawkins/Steve Gadd(ds), Ralph MacDonald(per), Paul Desmond(sax), James Taylor/David Crosby/Leah Kunkel/Stephen Bishop(bv), etc
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