Art Garfunkel / Watermark (1978年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Art Garfunkelの1978年のアルバム『Watermark』の紹介です。

Art Garfunkel / Watermark (1978年) フロント・カヴァー

Art GarfunkelはNY生まれの名シンガー。Paul Simonとフォーク・ロック・デュオのSimon & Garfunkelを組んで60年代後半のヒット・チャートを席巻し、70年代以降はソロ活動に専念して、高音の美しいテナー・ヴォイスを生かした良質なアルバムを作っている。

この『Watermark』は3枚目のソロ・アルバム。ソロになってからのGarfunkelはJimmy Webbの曲を好んで歌っているが、本作はまさにJimmy Webbの作品集。収録された12曲のうち10曲がWebbの作品である。

「Crying in My Sleep / 泣きながら目覚めて」「All My Love's Laughter」「Mr. Shuck'n Jive」「Someone Else (1958)」あたりの穏やかで瑞々しい曲調はJimmy Webbの真骨頂。Art Garfunkelの透き通った美声で歌われる切なげなメロディを聴いていると、心が洗われるようだ。

残り2曲のうち、「(What a) Wonderful World」はSam Cookeの1960年のヒット曲(米12位)のカヴァーで、Garfunkel、Paul Simon、James Taylorの3人による美しいハーモニーが感動的。この曲はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの17位、ACチャートでは1位を記録した。もう1曲の「She Moved Through the Fair」はアイルランドのフォーク・ソングである。

参加ミュージシャンはとても豪華だ。「Mr. Shuck'n Jive」の最後に流れる静かなSaxソロは、1940年代から活動する著名なジャズ・サックス奏者のPaul Desmondによる演奏で、これがDesmondの最後のレコーディングとなった。

このアルバムはBillboard 200チャートの19位を記録。海辺でリラックスする写真は、Garfunkelの当時のガール・フレンドであるLaurie Birdが撮影している。女優で写真家だったLaurieは、翌年に25歳の若さで帰らぬ人となった。二人が「Wonderful World」の歌のように幸せな時を過ごしていた頃の名盤だ。

●収録曲
  1. Crying in My Sleep / 泣きながら目覚めて - 4:06
  2. Marionette - 2:36
  3. Shine It on Me - 3:26
  4. Watermark - 2:59
  5. Saturday Suit - 3:16
  6. All My Love's Laughter - 3:56
  7. (What a) Wonderful World - 3:32
  8. Mr. Shuck'n Jive - 4:48
  9. Paper Chase - 2:37
  10. She Moved Through the Fair (Traditional) - 2:45
  11. Someone Else (1958) - 2:19
  12. Wooden Planes / 木製飛行機 - 3:13

◆プロデュース: Art Garfunkel, Barry Beckett(k), Phil Ramone

◆参加ミュージシャン: Paul Simon(ag, bv), Jimmy Johnson/Pete Carr/Hugh McCracken(g), Jimmy Webb/Richard Tee/Bill Payne(k), David Hood/Tony Levin(b), Roger Hawkins/Steve Gadd(ds), Ralph MacDonald(per), Paul Desmond(sax), James Taylor/David Crosby/Leah Kunkel/Stephen Bishop(bv), etc

スポンサーリンク