Greg Guidry / Over The Line (1982年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Greg Guidryの1982年のアルバム『Over The Line』の紹介です。

Greg Guidry / Over The Line (1982年) フロント・カヴァー

Greg Guidryはアメリカのシンガー・ソングライター。翳りのある渋いメロディを紡ぐ優れたメロディ・メイカーでもある。Guidry家は音楽ファミリーであり、Gregはその長男。デビュー・アルバムの本作には長女のSandra(Sandy)、二女Susanの夫のDenny Henson、三女のCathy、次男のRandyが参加し、ファミリー総出でバック・ヴォーカルを務めている。

共作も含めて全曲がGreg Guidryの作で、メロディの良さにぐっと心を掴まれるような曲が多い。

特に1曲目の「Goin' Down / ラストタイム・ラヴ」は名曲。Gregの渋い歌声も魅力的で、泣きのメロディにとても良く合う。この曲はファースト・シングルになり、Billboard Hot 100チャートの17位、ACチャートでは11位を記録するヒットとなった。

間奏の情熱的なギター・ソロは、この年にWhite HeartのメンバーとしてデビューするDann Huff。本作は、まだ22歳という若きDann Huffの名演を存分に味わえるアルバムでもある。

「Show Me Your Love」「Gotta Have More Love / 愛の焔」「(I'm) Givin' It Up / 君に別れのくちづけを」「Are You Ready For Love / 待ちこがれて」も、Gregの泣きのメロディが冴える曲。「愛の焔」はClimax Blues Bandの80年のアルバム『Flying The Flag』の収録曲(全米47位)のセルフ・カヴァーで、「待ちこがれて」はRobbie Dupreeの81年のアルバム『Street Corner Heroes』に提供した曲だ。

最後の3曲は姉のSandyとの共作。「Into My Love」では二人でデュエットし、Sandyのキュートな歌声がアルバムに華を添える。ラストの「Darlin' It's You」の曲調は、Steely Danの『Aja / 彩(エイジャ)』(77年)に収録された「Josie」を思わせる。最後まで、クールで渋い。

2000年にも『Soul'd Out』『Private Session』の2枚のアルバムをリリースするが、2003年に49歳の若さで他界した(自死とされている)。きっと、細やかで優しい人柄だったのだろう。

●収録曲
  1. Goin' Down / ラストタイム・ラヴ - 3:44
  2. (That's) How Long / 愛のメニューを - 3:30
  3. Show Me Your Love - 4:11
  4. If Love Doesn't Find Us / 午後のためらい - 2:58
  5. Gotta Have More Love / 愛の焔 - 3:43
  6. Over The Line - 3:00
  7. (I'm) Givin' It Up / 君に別れのくちづけを - 3:20
  8. Are You Ready For Love / 待ちこがれて - 3:18
  9. Into My Love - 3:11
  10. Darlin' It's You - 2:39

◆プロデュース: John Ryan, Greg Guidry(vo, k)

◆参加ミュージシャン: Sandy Guidry(vo), Dann Huff(g), Phil Naish(k), Gabriel Katona(sy), David Hungate/Gary Lunn(b), James Stroud/Mark Hammond(ds), Bobby LaKind(per), David Sanborn(sax), Denny Henson(bv), etc

スポンサーリンク