Bill LaBounty / This Night Won’t Last Forever (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Bill LaBountyの1978年のアルバム『This Night Won't Last Forever / 涙は今夜だけ』の紹介です。
Bill LaBountyは安らぎと癒しのある曲を作ることで人気のあるシンガー・ソングライター。思わずほろっとさせられそうな優しいメロディ。丁寧で心のこもった歌声。さり気なく洗練されたアレンジ。Billの作る曲と歌声には、気分が沈む時にそっと寄り添ってくれるような温かさがある。
Bill LaBountyは70年代初めにFat Chanceというグループで活動し、72年にアルバム1枚を残している。その後にソロとなり、75年に1作目の『Promised Love』を、78年に2作目となる本作『涙は今夜だけ』をリリースした。前作に続いてJay Senterがプロデュースを担当し、腕利きのミュージシャンを招いて丁寧に制作している。
収録曲は全てBill LaBountyのオリジナルであり、そのうちの4曲(4, 6, 8, 10)は1作目の再録。また6曲(1, 3-6, 10)は、ソングライターのRoy FreelandやプロデューサーのJay Senter等との共作である。
甘く切ないタイトル曲「涙は今夜だけ」は、Bill LaBountyの代表曲の1つ。このアルバムからのファースト・シングルとなり、Billboard Hot 100チャートでは65位をマークした。親友のMichael Johnsonは翌年のアルバム『Dialogue』でこの曲をカヴァーし、シングル・チャートの19位を記録。本家以上のヒットになっている。日本では、90年のTVドラマ『すてきな片思い』(主演 中山美穂・柳葉敏郎)の挿入曲になったようだ。
Michael JohnsonはBill LaBountyの曲を好んで取り上げており、同年のアルバム『The Michael Johnson Album』でも、ほのぼのとした「言葉はいらない」をさっそくカヴァーしている。
他のミュージシャンも早々と本作の曲を取り上げた。Shaun Cassidyは同年のアルバム『Under Wraps』で「Lie To Me」を、Frankie Valliもアルバム『Frankie Valli…Is The Word』で「涙を信じて」をカヴァー。翌79年には、Lisa Hartmanがアルバム『Hold On』で「悲しき抱擁」を、Randy Crawfordはアルバム『Raw Silk』でメロウな「恋を大切に」をカヴァーしている。
茫漠とした「Room 205」や爽やかな「Open Your Eyes」、しっとりしたバラードの「Crazy」も、地味だけどBill LaBountyの良さが表れている曲。歌声に力があって、しみじみと胸にせまるものがある。「Open Your Eyes」や「Crazy」などを収めた1作目の『Promised Love』も、機会があれば是非聴いてみたい。
- ●収録曲
- This Night Won't Last Forever / 涙は今夜だけ - 4:22
- Room 205 - 4:19
- In 25 Words Or Less / 言葉はいらない - 3:30
- Open Your Eyes - 3:46
- Little Girl In Blue Jeans / ブルー・ジーンズの女の子 - 3:42
- Lie To Me - 3:23
- Who's Gonna Hold You / 悲しき抱擁 - 3:18
- Crazy - 3:24
- A Tear Can Tell / 涙を信じて - 3:14
- I Hope You'll Be Very Unhappy Without Me / 恋を大切に - 3:43
◆プロデュース: Jay Senter
◆参加ミュージシャン: Bill LaBounty(vo, k), Shane Keister(ar, k), Larry Knechtel(k), Dean Parks/Lee Ritenour/Ray Parker Jr.(g), Lee Sklar/David Shields(b), Jeff Porcaro/Mike Baird/Jim Gordon/David Garibaldi(ds), etc
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません