John Valenti / I Won’t Change (女はドラマティック) (1981年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、John Valentiの1981年のアルバム『I Won't Change / 女はドラマティック』の紹介です。
John Valentiはシカゴ出身のミュージシャン。60年代の終わりから音楽活動をしており、70年代前半は地元シカゴのPuzzleというバンドに在籍して、リード・シンガーとドラマー、ソングライターを担当していた。PuzzleはChicagoのようなブラス・セクションを擁する6人組で、白人のグループにしては珍しくモータウン・レコードと契約し、2枚のアルバムを73年と74年に残している。
John Valentiはまた、Stevie Wonderの影響を強く受けたミュージシャンとして知られている。特に、ソロになってからの1作目『Anything You Want』(76年)は、都会的なセンスのポップ・ソウル・ナンバーをStevieそっくりの歌唱スタイルで歌う素晴らしいアルバムで、レア・グルーヴ/AORの人気盤になっている。
この『I Won't Change / 女はドラマティック』はソロの2作目。前作よりもAOR色を強めており、ポップで爽やかなAORナンバーの中に、ときおり "Stevieラヴ" な曲が顔を覗かせる内容。曲作りにおいては、共作も含めてJohn Valentiが4曲(3, 5, 7, 9)を、プロデューサー兼ギタリストのMike Piccirilloが残りを担当している。
AOR寄りのナンバーには、Michael McDonaldの「What A Fool Believes」スタイルの「Stephanie」や、Robbie Dupreeが作りそうな胸キュン・メロディの「That's The Way Love Goes」「Runnin' Scared」などがあり、やや時代に合わせた向きも感じるが、どの曲もメロディが瑞々しい。
一方、タイトル曲の「I Won't Change」は "Stevieラヴ" 全開なご機嫌な曲。ファンキーでグルーヴィ。爽やかなメロディに乗せて、John ValentiがStevie Wonderスタイルのソウルフルな歌声をたっぷり披露する。1作目のリヴァイヴァルという感じ。
メロウなバラード「Best For You / ステキなほほえみ」も素晴らしい曲。伸び伸びとしたJohn Valentiの歌声は、本作の中では1番かも知れない。
このアルバムは、本国アメリカでの発売が見送られ、日本のみでリリースされている。ポップな路線よりは、大人びたブルー・アイド・ソウルのアルバムを期待されていたのかも知れない。Stevieスタイルで "I Won't Change" と歌うJohn Valenti本人にとっても、AORへの歩み寄りは本意ではなかったのかも、と思う。
- ●収録曲
- Who Will It Be / 女はドラマティック - 4:32
- Did She Mention Me / うたかたの瞳 - 2:43
- I'll Take You Back / 君が好き - 4:29
- That's The Way Love Goes / ブロークン・ドリーム - 3:08
- Best For You / ステキなほほえみ - 4:06
- I Won't Change - 3:03
- Stephanie - 3:57
- Runnin' Scared / ホットな夜と口紅 - 3:39
- Make It Up To You / たぶんロンリー - 3:42
- Fight For Love / 愛はジェラシー - 3:24
◆プロデュース: George Tobin(ar), Mike Piccirillo(ar, g)
◆参加ミュージシャン: Bill Cuomo(k), Scott Edwards/Kenny Burke/Eric Nelson(b), Ed Greene/Vinnie Colaiuta(ds), Joel Peskin/Larry Klimas(sax), Chuck Findley(tp), Edna Wright/Darlene Love(bv)
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